予測不可なメルヘンワールド『サラダの国のトマト姫』シナリオログ

サラダの国のトマト姫
シナリオログ

サラダ王国には様々な野菜や果物たちが、
オニオン王の統治の下で平和に暮らしていた。
しかし、ある日、パンプキン率いるカボチャ一族がクーデターを起こし、
オニオン王は倒れサラダ王国を乗っ取られてしまう。
パンプキンはカボチャ大王を名乗り野菜たちに圧政を敷くが、
これに対し野菜たちはオニオン王の娘・トマト姫を中心に
反乱軍を結成し国王軍に対抗した。
しかし、トマト姫は国王軍の兵士に誘拐され、城に幽閉されてしまった。
プレイヤーはキュウリ戦士となり、トマト姫を救うため旅立つ。

 

150枚を超える、ときめきのファンタジック・ピクチャー
サラダの国のトマト姫

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発売元:ハドソン
発売日:1984年7月
定価:6800円(テープ版は4800円)
使用機器:[5インチディスク版]PC8801(1枚組)
ジャンル:アドベンチャー
使用言語:完全マシン語

■88以外にはPC-8001mkII、PC-6001mkII、FM-7/77、MZ-1500/2000、X1、
  SMC-777、MSXなどに移植されている
■また、コマンド選択式として大幅改変した同名ゲームがファミコンにも登場した
■MSX版はグラフィックが白地にラインのみになっている
■動詞+名詞で行動を入力するのは『デゼニランド』などと同じだが、
  カナによる日本語でも受け付けるようになった

 

 ~ゲームスタート~

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あなたはカボチャ大王の城下町へもうすぐのところまでやって来ました。
果たしてもあなたは無事にトマト姫を救い出す事が出来るでしょうか。

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あなたは道で倒れている柿を見つけました。
あなたは水を汲んできて柿に与えました。

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柿「危ないところを助けてくれてどうもありがとうございました。」
柿「私は、カボチャ王のところから命からがら逃げてきたのです。」
柿「私達のトマト姫はまだ王の城に監禁されています。」
柿「もう誰も姫を救い出せるものはいません。どうかあなたの力を貸して下さい。」
柿「町に浮浪者の姿をした我々の仲間がいます。」
柿「彼に会えばもっと詳しい事がわかるはずです。」
柿「ご恩は一生忘れません。」

町に着いたあなたは古道具屋さんに入りました。

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店主「バケツ(BUCKET)・コップ(CUP)・傘(UMBRELLA)・洗濯板(WASHBOARD)・長靴(BOOTS)、があるよ。」
店主「ところで君 いいツルギを持ってるじゃないか。」
あなたは傘とツルギを交換しました。

次に電気屋さんへと入りました。

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店主「ラジオ(RADIO)、乾電池(BATTERY)を買ってくり。」
あなたは乾電池とテープ版デゼニランドを交換しました。

次にタバコ屋さんへと入りました。

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中では梅干し婆さん(UME)がタバコ(TOBACCO)を売っています。
あなたはタバコとロウソクを交換しました。
店主「ちょうど仏壇のが切れてたんだ。ほり、吸い過ぎに注意しなさいよ。」

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あなたは道にいる浮浪者にタバコを恵みました。
浮浪者「あの奉行所の中に司令部のものが一人囚われています。」
浮浪者「彼に会うと何かわかるかも知れませんよ。」
浮浪者「気をつけて。」

あなたはお弁当屋さんへと入りました。

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桃(PEACH)がお弁当(LUNCH)を売っています。
あなたは桃に「かわいいね」と褒めました。
桃「まぁ、嬉しい!お弁当ひとつあげちゃう!」

あなたはサラダ町奉行所へとやってきました。

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中の牢屋(PRISON)にはニンニク(GARLIC)が捕らえられています。
ニンニク「腹減ったよー。なんか食いもんちょーだい。」
あなたはお弁当をあげました。
ニンニク「お前が噂のキュウリ戦士か。反乱軍の合言葉は“G13”だぜ。よく覚えとくんだな。」

奉行所を出て酒屋さんまでやってきました。

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ブドウ(GRAPE)が酒(SAKE)を売っています。
あなたはフランスパンと酒を交換しました。

次に本屋さんへ来ました。

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店主「あなたが今まで読んだ本の中で一番おもしろいものは何ですか?」
あなたは“G13”と答えました。

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すると本棚がずれて通路が現れました。
その先には反乱軍の司令部がありました。

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あなたが口を開こうとするとロンメロン将軍が現れました。

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将軍「わたしが将軍のロンメロンだ。我々は、今回の君の行為を非常に感謝している。」
将軍「我々は君が無事にトマト姫を助け出す事を祈っている。」
将軍「頑張ってくれたまえ。」
将軍「おっと。忘れていたが、国王軍にはウォーメロンという野菜メカがある。」
将軍「その件について詳しい事は作戦参謀の方から話してもらおう。」

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作戦参謀が現れました。
リサ「私が作戦参謀のリサです。」
リサ「実は、私達にもダイコーンという強力な野菜メカがあったのですが、そのカギは国王軍に盗まれてしまったのです。」
リサ「この前もそれを取りに行った者が捕まってしまいました。」
リサ「どうか頑張って下さい。」

話を聞き終わると、あなたは本部を出て道を進みました。
教会の隠し通路から先へ進むと、キノコ族の村へと辿り着き、キノコが一人出てきました。

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キノコ「えーと。」
キノコ「えーと。」
キノコ「ウォーメロンは川に潜んでいるぜ。」
キノコ「えーと。他には何も無かったと思うけど。」
キノコ「えーと。」
キノコ「えーと。」
キノコ「えーと。」
キノコ「ウォーメロンは木でなぎ倒すとやっつけられるで。」

さらに進むとインテリキノコが出てきました。

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インテリ「うーん。」
インテリ「うーん。」
インテリ「うーん。」
インテリ「ダイコーン?」
インテリ「ダイコーンはシアン(CYAN)のボタンを押すとパワーが入るぜ。」

あなたは旅を続け、ピーナッツ族の村に入りました。

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優しいピーナッツの家族が和気あいあいと話をしています。
そんな家族の団欒を壊したくなったあなたはピーナッツの子供を殴りました。

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ピーナッツボウヤが泣きだしてしまいました、かわいそーに!
ピーナッツボウヤの涙が地面に落ちてピーナッツになりました。
あなたはピーナッツを入手しました。

川を渡った先に汚い小屋がありました。
中にはむっつりしたニンジン(CARROT)の爺さんがいます。

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ニンジン「・・・・酒・・・・ブツブツ。」
あなたは爺さんに酒を恵んであげました。

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ニンジン「よく気がつくじゃないか。」
ニンジン「はっはっはっ、久しぶりの酒じゃ!!」
ニンジン「ところでツマミは無いのかね?」
あなたはピーナッツをあげました。

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ニンジン「よしよし。」
ツマミを食べながら酒を飲んでいます。
ニンジン「お前が噂のキュウリ戦士だな。」
ニンジン「この先は洞穴の中にある“ダイコーン”に乗って行くが良い。」
ニンジン「美味い酒じゃ。」
ニンジン「これがライトサーベル(SABER)だ。お前の強力な味方になるだろう。持って行くが良い。」
ニンジン「ただし電池が無いと使えんぞ。」
あなたはライトサーベルを受け取りました。

洞窟の先のダイコーン格納庫へと進んだあなたは、ダイコーンに乗り込み起動させました。

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「ゴゴゴー。」
ダイコーンが動き出しました。

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「ガガーン!!」
ダイコーンが天井を突き破って立ち上がりました。
あなたはこれから先、ダイコーンに乗って進む事が出来ます。

ダイコーンはズンズン進みます。
すると水辺の中から何かが現れました。

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国王軍のロボットだー!!
ダイコーンは岩を投げつけました。 

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「いてーな!!そんなんじゃやられないぞ。」
ダイコーンはさらに木を投げました。

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やったー!尖った木でやっつける事が出来たぞ!!
しかし今の戦いでダイコーンも傷ついてしまいました。
これから先はまた一人で行かなくてはなりません。

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デター。ヤマタノバナナ(BANANA)だ。

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あなたはライトセーバーに電池をセットし、ヤマタノバナナと格闘になりました。

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やったー!やっつけられたぞ!!
バナナの皮(RIND)が落ちています。
それを拾って先へと進みます。

立入禁止の山道を進み、崖っぷち(PRECIPICE)までやってきました。
あなたは意を決してジャンプしました!

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「ヤッホー。」
傘を使って上手く降りる事が出来ました。
お城の庭に降りました。

お城の庭で土を掘ると・・

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イモ「よっ、こんちゃー。あんた噂のキューちゃんだろ。」
イモに傘をあげました。
イモ「おう、いい傘持ってるじゃないか。貰っとくぜ。お礼に城の中へ連れて行ってやろう。」
イモが掘ったトンネルです。

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トンネルの先にはトイレとフロとシャワーがありました。
あなたはシャワーを浴びました。
「あー、気持ちいい。」
体の泥が取れてキレイになりました。

2階の廊下に番兵が見えます。
あなたはバナナの皮を投げました。

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番兵(GUARD)がバナナの皮で滑って転んでしまいました。
番兵から牢屋のカギを奪いました。

牢屋の中にタケノコがいます。

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ピーマンがいます。

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瓶が置いてあります。
開けてみと白菜が出てきました。

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白菜「あー、苦しかった。」
白菜「僕はカボチャ大王の嫌いなものを持っているので閉じ込められていたんだ。」
白菜「長い間閉じ込められていたので体がしなびて来たみたいだな。」
あなたは白菜に水を与えました。
白菜「あー、体がしゃきっとしてきたよ。どうもありがとう。」
白菜「これがカボチャ大王の嫌いな青虫だよ。」

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3階に上がって来ました。
正面の部屋では宴会をしているようです。
しばらく待ってみると、番兵のナスも酒を飲み過ぎて酔い潰れてしまいました。

部屋の中に入ります。

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いたー!!トマト姫だ!

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カボチャ大王(PUMPKIN)がいました。

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大王「こらぁーっ。貴様ぁー、何者だ。」
あなたは大王に青虫を見せました。
「ホレ!!」

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大王「ギョエーッ!何だこれは!!」
大王は一目散に逃げていきます。

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大王は部下を見捨ててただ一人ロケットで脱出していきます。

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大王を乗せたロケットは宇宙の果てまで飛んでいってしまいました。

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トマト姫「嬉しいわ。あなたのお陰であのカボチャ大王を追放する事が出来たわ。」

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カボチャ大王のいなくなったサラダの国は、また昔のように平和が戻って来ました。
これにて「サラダの国のトマト姫」全巻の終わりです。

 

よくここまで辿り着きましたね=
本当にご苦労様でした。
このアドベンチャーに関するお便りをハドソン東京までお寄せ下さい。
ご使用の機種名、お年、ご職業なども書き添えて頂くと幸いです。

 


~編集後記~

テキスト入力式AVGの良し悪しはどこにあるのか?
仕組みを分解してしまえば何の事はない。
製作者が用意したキーワードを当てる事が出来るれば先の展開が見れる紙芝居。
そこにパズル的な整合性は無い。
正解のキーワードが思いつかずに進行が止まる。同じ画面を行ったり来たりする。
当時を体験していない人には想像もつかないと思うが、
この「ゲームの進まない間がたまらなく楽しい」という特徴を持つのが
テキスト入力式AVGなのだ。

もし自分がこの世界の主人公ならどんな行動をするだろう?
この世界にはどんな仕掛けがあるのだろう?
ゲームは止まっていても、その間、ユーザーの想像力は絶え間なく動いている。
それがテキスト入力式AVGの魅力の秘密なのである。
ではその魅力を最大限に引き出すにはどんなゲームであるべきか?
まずは想像の翼を広げたくなる魅力的な世界観を提供する事だろう。
当時、無味乾燥な背景ばかりを行き来するAVGが多かった中で、
野菜の国を冒険するという独特のメルヘンファンタジー色、
ユーモラスなキャラクター、
(野菜ロボットが登場するなど)想像の上を行く展開とパロディ精神、

まさに『サラダの国のトマト姫』は
想像力を掻き立てる魅力的な世界を構築したと言えるだろう。

本作は『デゼニランド』同様に「難解過ぎる」点を指摘される事が多いが、
「進まない間を楽しませる」という特性から、
それの是非を一概に決める事は出来ないだろうと思う。

(とはいえ、同じコマンドを複数回入れないと進めないなどはやり過ぎに思えるがw)

ちなみにこの『サラダの国のトマト姫』という印象的なタイトルであるが、
フォークシンガーであるイルカの1978年の曲
『サラダの国から来た娘』から引用したのではないかと推測する。

最後にこのゲームのヒロインについて。
このゲームのヒロインは当然トマト姫なのだが、
なんか最後にキュウリ戦士に巨乳を押し当ててるし、
ビッチっぽいのがマイナス点だなw。

それよりも俺様は同じく巨乳の反乱軍作戦参謀リサが萌えるぜ。
タイトなセクシースーツに身を包んでいるのに童顔。
そして編み込んだ後ろ髪。天真爛漫な笑顔。

こっちの方が断然ヒロイン向きと言えるだろう!

ちなみに宇宙へと逃げていったカボチャ大王の後日談は、
同じくハドソンのアドベンチャーゲームデゼニワールド』で確認できる。