定吉七番 秀吉の黄金
(ハドソン)
1988年11月18日/コマンド選択式アドベンチャーゲーム/4900円
本作はPCエンジン初のアドベンチャーゲームとなったタイトルである。
「定吉七番」と書いて「さだきちせぶん」と読む。
定吉七番は、大阪商工会議所の工作員として、
敵の秘密結社NATTO(ナットー)と戦う、殺人許可証を持つ丁稚である。
ある日、大阪城の石垣から、
秀吉公が隠した黄金の在り処を記したと見られる古文書が発見された。
ところがどっこい発見された古文書が敵のNATTOによって盗まれてしまったのである。
そこで連絡を受けた定吉七番は、会所へと向かったのだった。
大阪を舞台にスパイ合戦を繰り広げるギャグテイストの内容で、
「007」のパロディである。
関西弁全開で構成された内容が特徴的だ。
なんとなく「さんまの名探偵」を彷彿とさせるが、
こちらはもっとコテコテなアドベンチャーゲームとなっている。
芦屋雁之助ネタなど時代を感じさせるなぁ。(^^;
仲間のスパイを探してバラバラになった古文書を集めていく。
そして舞台は東京へ。
敵組織のNATTOが本格的に襲ってくる。
そして古文書がNATTOの手に渡ってしまうのだった。
テープレコーダーから次の司令が下される。
おはよう定吉どん。わてマスターや。
敵は古文書の謎を解く鍵を見つけ、松本へ向かうとの情報を得た。
10時から16時の間の列車に乗るらしい。
そこで君の使命だが、その列車を見つけ、敵の工作員を倒して
古文書を取り返す事にある。
詳しくは駅に派遣した味方の工作員から聞くように。
成功を祈る。
例によって君もしくは君のメンバーがとらえられ、
あるいは殺されても、会所はいっさい関知しない。
なお、このテープは自動的に消滅する。
プシュー・・・
007じゃなくて「スパイ大作戦」のパロディかぁ~。
そんなわけで舞台は松本へ向かう列車へ。
列車の中は似たような場所を行ったり来たりする必要があって
フラグ立てが割と面倒。
最後は列車の上で敵工作員と対決。
そのあと松本駅では仲間の菊ちゃんがさらわれてしまう。
このあたりから暗号などの謎解き要素が増えてくる。
そうして真田山へと辿り着いた定吉七番。
中に入ると迷路のようになっている。
昔のアドベンチャーゲームって
終盤にダンジョン探索させるの好きよなー。
秀吉の黄金発見!
だが後をつけてきたNATTOのサラリーマンが
キクちゃんを人質に登場!
なんとか撃退する定吉七番。
だがこれでめでたしめでたしとは行かなかった。
仲間が何者かに殺される。
犯人の足取りを追うと、南港にNATTOの潜水艦が!
キク「よくここが分かったわね。
そうや!NATTOに情報を教えたのも、サイフどんを殺したんも、
みんなうちがやったんや。
裏切り者?ちゃうで!裏切ったんやない!これがうちの任務や」
あ!変装をときます・・・
サヤカ「あたしはNATTOの工作員サヤカ。定吉どん、お別れね。死んでもらうわ!」
サヤカが拳銃をこちらにむけました。
ドギューン!
「あかん!キクちゃん!」
「うぐっ!」
ドサッ・・・
トラノスケが飛び出して撃たれてしまいました。
「キ、キクちゃん、好きやった・・・」ガクッ
トラノスケは倒れてしまいました。
サイレンです!
警察と秘密会所の仲間達が駆けつけてきました。
サヤカ「おほほほほ・・・仲間が来たようね。私は捕まらないわ。
定吉どん、じゃあね。」
潜水艦でここから逃げるつもりです。
「ロケット包丁や!」
駆けつけた雁の助が叫びました。
定吉は包丁を構え、赤いスイッチを押しました。
どこおーんん!
潜水艦は真っ二つになって沈んでいきます・・・ゴゴゴ・・
サヤカを撃つのかと思ったら潜水艦を沈めるとは!
どんだけ凄い破壊兵器やねん包丁!
サヤカ「やってくれたわね定吉七番。こうなったら2人でかたをつけましょう。
この拳銃でロシアンルーレットよ。運が悪ければ死よ!やる?」
『はい』
サヤカ「いい度胸ね。じゃあルールを言うわよ。この弾倉をお互いにまわすの。」
交互に引き金を引いていく。
カチン!
定吉は助かりました。
サヤカの手が震えています。最後になってしまいました。
サヤカ「定吉7番・・・どうやらあたしの負けね」
(なぜか最後のシーンだけ“7番”と呼んでいる)
「なんで裏切ったんやキクちゃん!」
「裏切った?違うわ!あたしは大阪に復讐したかったのよ。」
「復讐やて?」
「あたしも大阪生れ大阪育ち。でもあたしの家は・・・
納豆を食べていたのよ。
それでまわりの人にキラわれ、イジメられ・・・
うち大阪がニクイ!納豆食うて何が悪いんや!」
「キクちゃん、あんた・・・」
「定吉どん、好きやったで」
サヤカが拳銃を定吉に向けました。
ドキューン!
警察がサヤカを撃ちました。サヤカは海へ消えました。
「キクちゃん、何でや、何でや・・・」
大阪南港に日が昇ります。
激しかったNATTOとの戦いも終わりました。
しかし、失ったもののなんと多かった事か・・・。
定吉はひとり海にむかって呟きました。
「悲しい色やね・・・」
SADAKICHI 7
ALL STAFF
ORIGINAL STORY
RYU(CHAN-SENSEI)TOGO
CHARACTER DESIGN
KOICHIRO(KENRITSU)YASUNAGA
PRODUCE & DIRECT
HIROYUKI(BOWYA)SAKAI
PLAYWRIGHT
HIROYUKI(BOWYA)SAKAI
YOSHINAO(HITOBASHIRA)SHIMADA
ATSUSHIRO(PASHIRI)SHIMIZU
ADVISOR
WATARU(U.W.F)NAKAJIMA
FIXER
HIDETAKA(WAGAMAMA)TAKAYAMA
PROGRAMMER
CHIEF
Y.KAWAGUCHI
TESHITA-1
RURIRURI NAGATA
TESHITA-2
CHARLEY NAKATA
TESHITA-3
MASAKAZU YAMAMORI
MUSIC PROGRAMMER
COME OVER FROM NORTH ISLAND
DAISUKE INOUE
SOUND DESIGNER
TOSHIAKI TAKIMOTO
SYSTEM COORDINATOR
MASAHIRO TOBITA
FUMIHIKO ITAGAKI
KAORU SHINDO
DESIGNER
NISHIOKAN RIDER
TAMITO SUZUKI
BORN TO RUN
AKIHIKO AZUMA
BILLIKEN SAN DESIGNER
YASUE OIKAWA
"NE OKUSAN"
GARY FUJIMOTO
2 PATTERN WALK DESIGNER
TAKEDA HANIWA MARI
SPECIAL THANKS
TOSHIHARU URA
KATSUHIRO NOZAWA
TOSHINORI OYAMA
PLANNING & PRODUCE
SOFIX CORPORAYION
PRESENTED BY HUDSON SOFT
このゲームが発売された1988年のアドベンチャーゲームと言えば、
パソコンでは既に「ジーザス」「サイオブレード」「アンジェラス」など
シナリオ展開を楽しむ事が主軸のタイプが主流となっていた。
ファミコンにしても探偵神宮寺三郎シリーズが2作目まで発売されており、
その波はコンシューマにも確実に来ていた。
ところが本作は旧来の探索型アドベンチャーゲームになっており、
「シナリオ展開を楽しむ」というタイプでは無い。
探索&ギャグという構成は「サラダの国のトマト姫」や「デゼニワールド」に近い。
容量をたくさん使えないHuカードのゲームなので、
グラフィック総数が少なくても成り立つ探索タイプにしたのかも知れない。
そんなシナリオ性の薄い本作であるが、原作は小説である。
原作本は読んでいないが、
描写や展開をバッサリとカットしないとこうは作れないよなぁ。
キャラクターデザインは漫画家の安永航一郎先生。
「県立地球防衛軍」や「巨乳ハンター」で有名な方。
動きのある絵がほとんど登場しない本作で
安永先生の絵が活かされたかどうか疑問である。
この記事でも掲載した結末のシーン。
キクちゃんが正体を明かして定吉と対決するわけだが、
そんな緊迫したシーンで
なんでこんなあっけらかんとした顔してんの?(^^;
シナリオが決まる前に発注しちゃったんじゃないか?
そして最後のオチが「悲しい色やね・・・」って。
ここ笑うとこだろうか?(by 上田正樹)