わが青春のPCエンジン(24)「邪聖剣ネクロマンサー」


邪聖剣ネクロマンサー
(ハドソン)
1988年1月22日/RPG/4500円


PCエンジン初のRPGがロンチから2ヵ月後に発売された。
パッケージにH・R・ギーガーの絵を採用しており、インパクトが強かった。
また、その内容も当時にしてはグロテスクな表現になっており、
すでに市民権を得ていたドラゴンクエストとの差別化も明確だったように思う。

ゲームの状態保存には“長い長ーいパスワード”をメモする必要があり、
それがこのゲーム最大の苦痛であり、
本作が正当評価されない要因ではないかと思われる。

 
ゲームがスタートすると王様から2人の仲間を選ぶように言われる。
実はこの選択がいきなり超重要なのである。
主人公を含めた計3人パーティで冒険をする事になるのだが、
エンディングまでずっと変更できない!
選ぶ組み合わせを間違えると、とんでもない難易度に変貌する。
マニュアルを見ると、
それぞれのキャラクターが装備できる武器、防具、魔法が記されている。
これを見ながら冒険をする上で
合理的なパーティ編成は誰と誰なのかを見切るのだ!
もう一度言うけど、間違えるとツライぞ〜。
(ちなみに俺様はライムとマイストにしました)
 
RPGの定石通リ、街を出てフィールドをうろつき、
弱いモンスター相手に金と経験値を稼ぐ。
最初の街でパーティが装備出来る武器と魔法書を全部買おう。
(防具はまだ売っていない)
そう、このゲームでは魔法も購入が必要だ。
(魔法書を買わないうちは魔法使いなどただの役立たずだw)
レベルが上がっても自然とは覚えない。
買い物偏重型のRPGと言えるだろう。
昔のRPGだからね。
お金を稼ぐために同じ場所でガッツリ戦闘繰り返さないとすぐ金欠になる。
次の街に辿り着いたとき、
新しい装備や魔法が持ち金の4倍以上の値段で売ってて気が遠くなるw。
 
旅の途中で「バーンのつえ」なる魔法のアイテムを入手。
これがかなりのチートアイテムで、魔力を消耗せずに全体魔法が使える。
通常魔法はすぐMPが尽きるので、全編通して重宝するアイテムだ。
 
街で通行人が道を塞いでいて、必要な場所へなかなか行けない事がある。

場所によってはしばらく脱出不可能になったりする。
この場合、ランダム移動でどいてくれるまで待つしかない。
とてもイライラしたポイントの一つだ。

終盤に差し掛かると誰でも装備できる武器と防具が手に入るのだが、
これがまたパーティバランスが一気に変わる性能。
いままで攻撃では戦力にならなかった魔法使いの攻撃力が
主人公の倍ほどになる(^^;
さらにネクロマンサーを手に入れると、その倍以上の攻撃力に。
このインフレパワーアップは割と気持ちイイから構わんけどw

このゲーム最大の難所はダンジョンの隠し通路。

他とまったくグラフィックの変わらない壁を通過できるという意地悪なトラップ。
ヒントはNPC
「そう言えば私見ましたわ。あの島で魔物が闇の壁にきえるのを…」
というセリフしかない。
しかも見えない壁は2ヶ所もある・・。
今回のプレイではそれを知っているから良かったけど、
当時はここを何週間も探しまわったんだぜ・・。

そしてついにやってきた最終ダンジョン。
ダンジョンの直前に女神様がいて、体力や魔力を回復してくれる。

このゲームにしては親切な設計だ。
なんならこの周辺をウロウロして好きなだけレベルアップしたらいい。
 
ダンジョンの階段を降りていくと、
怒涛のボスラッシュに突入する。
ダンジョンを脱出できる魔法「ゲルニダン」を持っていれば、
1体倒すごとに回復に戻れるので、それをオススメする。
 
ツァトゥグァ戦

 
ナイアラトテップ戦

 
ハストゥール戦

 
ヨグトース戦

 
いずれもステータス変化魔法などを工夫しないと倒せない強敵達だった。
そしていよいよ魔空王アザトース戦へ。

 
アザトースは打撃も強力だし、魔法も重ねがけしてくる。

しかも回復魔法も使うので必勝ローテーションを編み出しても
魔力が尽きて継続できなくなったりする。
ちなみにだけど、このボスラッシュに疲れて
「今日はパスワード取って明日やり直そう」などと思ってはいけない。
パスワードで復活すると、全てのボスも復活するというドS仕様なのだ!
 
…こうして何とかラストボスを撃破した俺様。
 


よくやってくださった勇者どの!
見事な活躍でした。
亡きジェノス王も、これで浮かばれます。
そなたの名は、このイシュメリアの国に永遠に残るに違いありませぬ。
おお、その剣がネクロマンサーですな。
それを持つ者は、この世の支配者になれるとか。
勇者どの、どうなさる?
願わくばその剣を携えて、この国を治めてもらいたいのですが…。
 
しかし勇者はこう答えた。
 
ギルムどの。私は亡き王の志にうたれた通りすがりの者。
人々を支配したい欲望はありませぬ。
欲望は人を殺し、物を壊し、心を奪います。
私はそうはなりたくないのです。
この剣がある限り、その力が人々の欲望を生み、争いは耐えないでしょう。
この剣を血の底深く埋めて下さい。
そして……さらばです!
ライム、マイスト、君達の事は忘れんぞ。
 
勇者さま、再び魔の手が我が国を襲う事があるかも知れません。
そのときには私達の事を思い出して下さい。
そして、再びお力をお貸し下さい。
さようなら、お元気で勇者さま!
 
真の勇者、勇者どの。そなたの意思はしっかりと汲みましたぞ。
名残惜しいがご自分で決めた事ならば仕方無い。
いつの日かまたお会いしましょう。さらば!
 
光と闇の戦いは終わり、大地に平和が訪れました。
勇者は思った。宝も名誉もいらぬ。
ただ……。
この喜びの声のために戦ったのだと。
 
 
THE NECROMANCER
 
STAFF
 
 
FIRST UNIT (PROGRAM TEAM)
 
ORIGINAL SCENARIO
T.TAKABE
 
PROGRAM
T.TAKABE
SADA
 
CHARACTER DESIGN
A.SEKIGUCHI
MEGUNTA
 
MAP EDITOR
I.SAKURADA
A.SEKIGUCHI
 
MONSTER ANIMATION
CORO CHAN
 
SOUND EDITOR
LAMIA
 
MUSIC
A.CHIKUMA
 
TOOLS
NAKAJI
 
SYSTEM SUPPORT
ITALAB
 
TECHNICAL ADVISER
TAKE CHAN
 
 
SECOND UNIT (SCENARIO TEAM)
 
SENARIO
RIKU SANHYO
 
GAME ADVISER
TYRELL TUJI
 
SUPERVISER
AYUMI KANO
 
MONSTER ADVISER
KITAMAKURA
 
SUPPORT
CBM
 
MAP SUPPORT
MOMO CHAN
 
SPECIAL THANKS TO
H.R.GIGER
 
NAKAHARA
KURODA
CHIBA
TUJI CORP.
R.YUMIMURA
K.SUGITA
S.MATUSHIGE
 
 

光と闇の戦いは終わり、大地に平和が訪れました。
しかし、勇者が言ったように
人の心に黒い欲望がある限り、
争いは決して絶える事は無いのです。
神すらも持て余したネクロマンサーを
あなた方人間がうまく扱えますか?
争いを起こさぬ自信がありますか?
ほら、なにか、音が聞こえますよ。
土を、掘り返すような音が………

THE END



ちなみに本作のシナリオを担当したのは三条陸さん。
(「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」の原作者だ)
イベントアイテムを入手するまで警戒を解かない村があったり、
老人ばかりの村があったり、
シナリオ重視のゲームではないながらも
光るポイントはいつくか見受けられた。

さて、本作を30年ぶりにクリアして改めて思ったこと。
本作はまさに“金欠RPG”であった。
新装備を買うために長時間金稼ぎ戦闘をしていた印象が強い。
初のRPGという事で
PCエンジン弾不足解消の時間稼ぎをしたかった意図はわかる。
わかるけどツライ思い出ばかり残しちゃうのは得策ではないよねぇ。
(実際、本作はシリーズ化の芽は無かったわけだし)


(ちなみに俺様が最もグロいと思ったモンスターはコチラ)