88ゲーム回想録(43)「ガウディ -バルセロナの風-」


ガウディ -バルセロナの風-
発売元:ウルフチーム
発売時期:1989年6月
定価:9800円
対応機種::PC-8801mkIISR以降
ディスク7枚組

 


1992年に開催されるバルセロナオリンピック
その開催地スペインを題材にしたら注目度が高くなるぜ!
…という事だったのだろうか?
本作はスペインを舞台にしたサスペンスアドベンチャーゲームである。

なお、この時期ウルフチームの88ゲームは、
2D版と2HD版の両方をリリースする試みを行っており、
本作も両バージョンが発売されている。
88で2HDドライブが搭載されているのはMシリーズとVAシリーズのみ。
2D版はディスク7枚組だったが、2HD版は3枚組だった。
ただし値段は一緒。

 


硝煙の臭いがする


最期の時を前に


神は私の前にある




私はヘンリー・ハワード
裏情報を仲介する情報コンサルタントを生業とする英国人である




欧州を熱狂させるバルセロナ五輪が迫る
いま、その成功が私の腕に懸かる
顧みたところで事態は好転しない
白き地の街は私を臆病にしたのか

The Walterloo Bridge In LONDON
-1992.7.31-

 


ウォータールーの橋…。
月日は流れても、永遠に忘れてはならない。
若かった五年前。私のスコットランドヤード時代。
この橋の上で、我が妻と息子の命を奪った。
怨讐の犯人を追いつめS&W645の銃口は火を噴いた。


憎しみは人を誤った地獄の業火に導くのか。
銃弾はその場に居合わせただけのジョン青年が受けた。
…三束の花束。
この五年間、花びらはテムズ川を清め続けた。
それが我が妻と息子、そしてジョンに送る独りよがりの贖罪。
鎮魂の情はいつも私を危険なビジネスに誘う。
ラ・サクラダ・ファミリア。天国につながる道。
「思想は自由ではなく、ただ真実に従っているだけである」




舞台は主人公ヘンリーが馴染みにしているバーから始まる。
そこに予定になかった依頼者が登場。


その依頼者はスペイン人のリーオ・ガルシーヤと名乗った。
「彼はスペイン共産党に協力して欲しい」という。


最初の舞台はロンドン。
このゲームでは
OPS(オブジェクト・ポインティング・システム)と名付けられたシステムで
物語を進めて行く事になる。
画面上に表示されたカーソルをテンキーで動かす。
(シフトを押しながらだとテンキーのスピードが上がる)
気になるところでリターンキーを押すと、
それに対応したコマンドが登場する。
移動もこれで行う。
(マウスで遊ぶ事も可能)
ところがこのシステムには大きな欠点が2つある。
1つ目。
どこがコマンドの切り替わる場所なのか分かりづらい。
一番困るのが移動。
例えば隣の通りに行きたいとする。
「移動する>隣の通り」が表示される場所をひたすら探す。
その正解は何でもない壁や青空だったりする。
行動とその正解に整合性が無い事で行き詰まるのはイライラする。
この不具合は「移動は別操作に分ける」「調べられる場所はマーカーをつける」
といった仕様で防げるはずで、よく考えられていない。
2つ目の欠点。
リターンキーの反応が良すぎて、
コマンド一覧が開いた瞬間に一番上のコマンドを選択してしまう事が多々ある。
これが移動先だったりすると行きたくも無い場所に移動してしまう事になる。
これもポイント選択と決定のキーを分ければ回避できたはず。

このゲームにはもう一つ画期的なシステムが搭載されている。
それがHRシステム(ヒストリー・リピート・システム)だ。
これはプレイしてきた過去のステップへと戻る事ができるシステムだ。
これを利用すると「あのとき選択肢を間違えたな」とか
「あのときの会話なんだっけ?」といったときに便利だ。

 


「移動する>地図」を選択すると、別の地区へと移動ができる。
地図で移動したい場所をカーソルで選択して進む。




自分のアパートからリチャードという仲間に電話をする。
リーオについて調査させるためだ。

 


翌日、リーオは何者かに襲われていた。

 


犯人を追いつめたが、かつての同僚ウィリアムが犯人を射殺。
リーオは病院で息を引き取った。
ヘンリーはリーオの遺言を果たすためにスペインへと乗り込む。

 

The Sakurada Famila In BARCELONA
-1992.8.6-

 


リーオの家まで辿り着いた。
彼の奥さんはリーオから手紙を預かっていた。
『前略、ヘンリー・ハワード君。
君がこれを読んでいるという事は私の命は無いものとなっているはずだ。
そしてこれを読んでいるという事は君が依頼を受けたものと信じている。
私が死んだ今、君にとって必要なのは私の同志と連絡を取る事だ。
連絡先の電話番号は別紙に記してある。
フランシスコに会えば全て分かるばすだ。
私を殺す必要があるのは「バスクETA」だろう。
連中については君も知っているだろう。
スペインを恐怖に陥れる狂気のテロ組織で、
今までにも市民を巻き込んだテロ事件を幾度となく起こしている。
彼らにとって我々共産党が動く事は非常に不利な要因となりうるのだ。
今日も後をつけられた。
ロンドンに行っても安心とは言えまい。
なんとしてもスペインのために力になって欲しい。
ただただそれだけを祈っている。
リーオ・ガルシーヤ』

 


フランシスコなる人物に会いにいこうとすると、
ヘンリーも何者かに襲われた。

 


フランシスコとメンバーのアンナと会う事に成功。
改めてフランシスコに依頼について聞く事になるが、
具体的に何をして欲しいのか全然言わないフランシスコ(^^;
「考えがまとまらないうちに君に依頼してしまった」
と素直な事を言うフランシスコ。

翌日出直す事に・・。
するとアンナがバルセロナ観光に誘ってきた。


物語は全然進展してないけど、
観光部分の説明がやたら長いぜ・・。(^^;

とまあこんな感じでボンヤリした展開でゲームが進んでいく。
どうやらこのゲームはマルチシナリオ方式を取っているらしく、
プレイヤーの行動によって展開が変化する。
大きく4通りの結末があるようなのだが、俺様の到達した結末は・・


もうすぐバルセロナ五輪が開催されようというスペインで
内戦が勃発するという縁起でもない結末(爆)
他のエンディングは見ていないがバッドエンドだったのかも知れない。


Original
KAZUTO ONISHI

Executive Producer
MASAHIRO AKISHINO

Associate Producer
JOE ASANUMA
FUMIHITO ISHII

Scenario
OSAMU OSANAI
KAZUYOSHI INOUE
SHIGERU IKEDA

Program Leader
HIROSHI IZUMINO

Program
SHIGERU IKEDA
SATOSHI NAMIKI
OSAMU WATANABE

Art Director
KAZUHIRO NAGATA

Art Staff
MASAYUKI MATUSHIMA
NOBUO KASHAKUMA
NORIKATA MAKINO
KIYOTA TAZIMA
TAKASHI KAZUMA

Music Director
MASAAKI UNO

Music
YASUNORI SHIONO

Sound Effect
FUMIHITO ISHII

Advertisement
FUMIHITO ISHII

Sales Promotion
JOE ASANUMA

Data Edition
SAY MIYATA
FUMIO SHIMOYAMA

Thanks
CHIAKI AKAGAWA
HIROKO OGASAWARA
NAOYUKI UKEDA
FUMIAKI FKAYA
TAKAHIRO ISHIKAWA
YUZI SAWADA
AKIHIRO SUZUKI
KINYA TAKEHANA
KENICHI SUZUKI

Duplicate
TOKYO DENKA Co.Ltd

Special Thanks
BARCELONA CITY
SPAIN EMBASSY
PARQUE de MONTJUICH
TEMPLO de la SAGRADA FAMILIA
SHUEISHA
PUBLIC PRESS SURVICE
KAZUYUKI FUKUSHIMA

Presents
WOLF TEAM

 

風景写真からトレースしたと思われる緻密で渋いビジュアルと
ハイレベルなサウンドハードボイルドの雰囲気をとてもよく作り上げている。
(サウンドボードⅡ対応でサンプリング音源なども効果的に使っている)

が、シナリオがずっと面白くない(爆)
依頼内容をハッキリ言わないまま殺される依頼主。
彼の遺言を果たす為にスペインへ移動し、彼のボスである政治家に話を聞くも、
依頼内容をハッキリ言わない。
自分の行動指針すらわからず、フラグを進ませるためにスペインをウロウロ。
遊びにくいシステムでイライラするし・・。
結局最後まで主人公のヘンリーは傍観者。
フラグが立ったらまわりが勝手に物語を進めていく・・。
そもそも「裏情報を仲介する情報コンサルタント」という
ヘンリーの仕事も具体的に何をする職業なのかよくわからない(^^;
こういうゲームを作る場合、最初に面白いシナリオありきだと思うが、
何だか「スペイン旅行でいっぱい写真撮ってきたからこれでゲーム作ろう」
というノリで見切り発車してしまったような感じなんだよねw
本作は雰囲気の完成度に中身が伴っていない
雰囲気ゲーなのである(^^;

 

余談だが、本作はウルフチーム
「セイクリッド・ファンタジーシリーズ」作品の一つである。
このシリーズの作品は同じ世界線の中に存在する物語という設定になっている。
「ガウディ -バルセロナの風-」「ファイナルゾーン」
「アークス」「ミッドガルツ」という時系列で
世界線を共有しているらしいw