88ゲーム回想録(28)「蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン」


蒼き狼と白き牝鹿ジンギスカン
(光栄)
1988年1月/SLG/9800円

 


蒼き狼と白き牝鹿ジンギスカン」は、
1985年にリリースされた「蒼き狼と白き牝鹿」のリメイク作である。
蒼き狼と白き牝鹿」は「三國志」「信長の野望」とともに
光栄歴史三部作と呼ばれた。
そしてこの三作で一番最初にリリースされたのが「蒼き狼と白き牝鹿」だ。
信長の野望 全国版」に夢中になり、「三國志」にも魅了された俺様は、
蒼き狼と白き牝鹿」も猛烈に気になっていた。
だが一歩踏み出せない要因があった。
蒼き狼と白き牝鹿」は
モンゴルの英雄ジンギンカン(テムジン)を題材にしたゲームだ。
俺様にはジンギンカンやモンゴルの歴史の知識がほとんど無く、
思い入れはまったく無かった
また、「三國志」のように
それをフォローしてくれる漫画などの媒体も身近に存在しなかった。
知らない国の歴史を知らない武将で追体験するのが楽しいとは思えなかった。
また、俺様が「蒼き狼と白き牝鹿」に興味を持った時期、
すでにこのゲームは古く、2作目で洗練された「信長の野望 全国版」などと比べて
まだまだ発展途上のゲームなのではないか?という不安もあった。
そんな中で発表されたのがこの「蒼き狼と白き牝鹿ジンギスカン」だった。
上記の2点の不安はこの新作で吹き飛ばされた。
新作「蒼き狼と白き牝鹿ジンギスカン」は
「モンゴル編」と「世界編」の2つのモードに分かれており、
「モンゴル編」は前作同様にテムジンを担当してモンゴル統一を目指すのだが、
「世界編」は世界戦争が舞台になっており、
テムジンだけでなく、
日本の源頼朝イングランドリチャード1世などでも遊ぶ事ができる。


つまり日本の源家が世界を征服するというifの歴史を追体験できるわけだ!
これは面白そうだ。
システム的にも「信長の野望 全国版」から1年以上あとの発売だから、
洗練されているに違いない。

発売日が迫り、俺様は「蒼き狼と白き牝鹿ジンギスカン」が遊びたくて
ウズウズしていた。
当時、光栄は「withサウンドウェア」というパッケージを販売していた。
ゲームとともに、そのゲームのサウンドトラックテープを付属したもので、
ゲーム単品の価格から2400円上乗せした価格で売られていた。
しかもこの「withサウンドウェア」は恐ろしい事に、
ゲーム単品パッケージよりも2週間ほど早い先行発売だったのだ!
まてまて、はやまるな。これは孔明の罠だ。
気づくと俺様は蒼き狼と白き牝鹿ジンギスカン」を12200円で買っていた。orz

 


結論を言うと、「信長の野望 全国版」や「三國志」のように
夢中になる事は本作には無かった。
とにかく難しくて攻略が上手くいかなかったのだ。
「世界編」の源頼朝で始めたのだが、ついには世界制覇はできなかった。
いま改めて分析してみると、
信長の野望 全国版」や「三國志」の場合、
開梱や街の発展で国力を上げ、
収入源を強化し続ける事で他国を凌駕する戦力で攻め勝つ事が出来た。
ところが本作は少し事情が違う。
遊牧民族を題材にしているので、じっくり国力を蓄えるのではなく、
効率的に戦力を蓄え、隣国より強くなったら侵略。
勝って略奪で得た資金をもとに再び戦力を蓄える・・
というゲームになっている。


そこを理解できなかった俺様は苦戦したのである。
また、「モンゴル編」をクリアすると、
その国力が「世界編」に引き継がれる設計になっており、
結果的に「モンゴル編」をテムジンで攻略するのがクリアへの近道になっている。

1作目と本作のゲームコマンドを比較してみよう。

蒼き狼と白き牝鹿
1:割当 2:分配 3:訓練 4:商人 5:人事 6:オルド
7:情報 8:移動 9:属国 10:外交 11:戦争

蒼き狼と白き牝鹿ジンギスカン
1:税金 2:割当 3:分配 4:訓練 5:商人 6:人事 7:オルド
8:情報 9:移動 10:属国 11:外交 12:間諜 13:戦争

これを見るとコマンド系はほとんど変わっておらず、
1作目から遊牧民の天下統一」が一貫してシステム化されている事がわかる。
そんな遊牧民コマンドの中で最も特徴的なものはやはり「オルド」だろう。
世界侵略ともなると、優秀な部下が必要不可欠である。
ところが一つ問題がある。
それが“裏切り”だ。
部下が優秀であればあるほど、寝返ったときのリスクは大きい。
仁義などというものが存在しない時代。
どんなに手厚い高待遇をしていても簡単に裏切る。
だが裏切らない部下というのが存在する。
それが自分の子供だ。
つまりこのゲームの仕組みはこうだ。
妻と優秀な子供を生めば生むほど、強くて裏切らない部下が揃う。
優秀な子供を作るには、各国を侵略して姫を略奪し、
種付けをしまくれば良い。
つまり「オルド」とは“男女の営み”の事なのだ!
侵略SLGの世界ではエロすら政治なのだ!

さて、そんなオルドの流れをご説明しよう。ゴクリ。
まず支配している国の中から、オルドしたい后のいる国を選ぶ。
テムジンには最初、ボルテという后しかいない。
(タイトルの蒼き狼とはテムジンの事で、白き牝鹿とかボルテのこと)
ボルテにオルドを頼むと、


「その様な事は出来ませんわ」
などと断ってくる事がある。
それに対して
1.愛を語る
2.強引にくどく
3.金で歓心を買う
といった方法で彼女をその気にさせるのだ。


無事、合体。
上手くいけば春にはご懐妊となる。
このようにして世界中の美女を抱く。
男の夢w

 

さて、そんな后の中で、オルドをまったく拒まず、
2回のオルドで必ず出産するという最強の后がいる。
それがラッチという彼女だ。


うむ。
オルドは政治であるから、
美女である必要無しだ(^_^;

 

 

当時、プレイを断念した俺様であるが、
音声合成のボイスを積極的に実装していたり、
国ごとにコマンドの挿し絵やBGMが違っていたり、
個性的なゲームであった事はよく覚えている。


▲世界各地の訓練イメージ


なお、本作は88では
3作目の蒼き狼と白き牝鹿 元朝秘史までリリースされており、
この「蒼き狼と白き牝鹿 元朝秘史」が
88市販ゲームのラストタイトルとなっている。

また、2022年現在、
シリーズは4作目の
「チンギスハーン・蒼き狼と白き牝鹿IV」までリリースされている。
(こちらはWindows向けゲーム)