あの頃のハード間戦争

ゲーム機のハード間戦争。
ユーザー同士がゲームハードについて罵り合う行為。
争いの舞台がネット上になった事で、よりその規模は大きくなったと言えるだろう。
8ビットPC全盛当時にもハード間戦争はあった。
俺様の感覚で言うと、あの頃の方がよりシュートで陰湿だったと思う。
今のゲーム機なんてのは安いもの。
そんなに罵り合って憎しみ合う労力があるなら、
さっさと全機種買い揃えれば済む話。
だが当時は違う。
パソコン買うのに20~30万円ぐらいかかる。
簡単に買い替える事も、複数機種揃える事も出来ない。
1度買ってしまったパソコンを
“他機種よりも劣るもの”だと認めるわけにはいかない!
他機種を下げる事で、自分が正解のパソコンを買ったと思い込みたいってわけ。
なので当時のハード間戦争は、シュートで陰湿だったのだ。

俺様が中学生の頃の話。
当時俺様は“PC-6001mkII”というパソコンを持っていた。
その頃すでにこのパソコンは時代遅れで、
ハード間戦争で勝ち目のある機種では無かった。
NECの88シリーズ、シャープのX1シリーズ、
富士通のFM-7シリーズなどのユーザーが主に戦っていた。
88勢、X1勢、FM勢はそれぞれ、
「どのゲームはうちの機種にしか出なかった」とか、
「あのゲームはうちの機種だけBGMが美しい」とかで罵り合っていた。
次第にX1勢、FM勢は劣勢になってくる。
88SRシリーズが普及台数を伸ばし、多勢に無勢となってくる。
するとゲームのリリース機種から外され始める。
普及すればそれを持っていた方が貸し借りも容易だし、
クラスの中でも88ユーザーが増えていった。
そうすると弱者は「88を持っていない者」という事になる。
非88ユーザーへの虐待が始まる。

同級生の二人組が俺様にニヤニヤと近づいて言った。
A「俺88買ったんだぜ~。」
B「まだ6001なのかよ~、ダセェ~。」
A「データレコーダーでいつまで待ってんだよ、プププ!」
B「全然ゲーム出ないんだろ~。ザナドゥ面白いぜぇ~!羨ましいか?」
その頃、俺様はすでに88ユーザーだったが、
あまりに彼等のニヤケ顔が醜かったので相手にしなかった。
(今頃、ダメな大人になっているんだろうなぁ)

ちなみにMSX2は独自の魅力を展開していたので、
この戦争の被害からは逃れていたように思う。
ファミコンにも他のパソコンにも無い
魅力的なコナミタイトルが多々登場していたからだ。
まさにガラパゴスパソコンと言ったところかw
だが、MSXはなぜかMSXユーザー同士で対立していた。
MSXはオープン規格で、複数のメーカーから登場しており、
メーカーの異なるユーザー同士が言い争っていたのだった。(^_^;

 

やがてパソコンは16ビット時代へと移行する。
すると今度は88ユーザーが蔑まれ始める。
98ユーザーに「ディスク枚数多いな~」とか
「グラフィックがチカチカして目が痛ぇ~」とかよく言われた。

16ビット時代になるとシャープのX68000、
富士通のFM-TOWNS、NECの98シリーズがあったが、
それぞれのユーザーが対立したという話はあまり聞かない。
おそらくは方向性が違い過ぎて住み分けが出来ていたのだろう。

 

前途ある未来の子供たちよ。
他者を下げる暇があったら自身を上げよう。
それが将来、有意義な人生を歩めるかどうかの分岐点だぜ。

 

世界を変えたテレビゲーム戦争