88ゲーム回想録(36)「テトリス」


テトリス
発売元:CSKソフトウェアプロダクツ
発売時期:1988年11月
定価:6800円
機種:PC8801

 


今や世界一有名と言って良いパズルゲーム「テトリス
日本で最初に「テトリス」がリリースされたのは、
ビーピーエスのパソコン版だった。
時は1988年11月18日。
なんと8機種から同時発売
PC8801版、PC88VA版、PC98版、X1版、X68000版、
FM-77版、FMR版、MSX2版であった。
当時パソコン雑誌で「ロシア人が考えた凄いパズルがある!」と知り、
俺様も当時、早速PC8801版を購入して遊んでみたのであった。

 


ステージクリア式の構成。
1人用のみ。
1ステージは6つのラウンドに分かれている。
ゲームの最初にステージとそのラウンドを選択できる。
最後にBGMを3曲から選択。(無音も選択可能)
いずれもロシア風の独特な曲調になっている。
(「TECHNOTRIS」「KARINKA」「TROIKA」)

 


ゲームがスタートするとお馴染みの「テトリス」なのだが、
現在の「テトリス」とは細かいところで仕様が異なる。


画面上部からテトリミノが出現。
どの向きで落ちてくるかはランダムだ。
(現在は向きは固定なのがセオリー)
そしてテンキーの4と6でテトリミノを左右に移動。
テンキーの5で90度ずつ左回転(反時計回り)する。
現在では左回転と右回転にボタンが分かれていて、
より的確に目的の向きに変更できるが、
この仕様だと最大3回まわさなければ目的の向きにならない。
また、プレイヤーがテトリミノのスピードを制御する操作は無く
スペースキーを押すと、一気にテトノミノが一番下まで落下する。
これは操作ミスのリスクが高い。
結果、全体的にゲーム展開が遅くなる。
テトリミノが着地してから数フレームは左右に移動できるのだが、
この時間が現在の「テトリス」に比べてかなり短い。


25ライン消すと1ラウンドクリア。
クリア前に一番上まで積み上げてしまうとミス。
LIVESを1つ消費して再挑戦。
全てのLIVESが無くなるとゲームオーバーだ。


スコアはプレイ中には加算されず、クリア時に一気にスコアが集計される。
これを見れば一度に多く消す方がスコアが高くなるのがわかるが、
プレイ中に加算された方が狙い甲斐があるよなぁ。


ステージが進むと、最初からデタラメに積み上がった状態からスタートする。
テトリミノの落下速度も多少上がるが、
現在の「テトリス」のように高速で落下してくる事は無い。
というのも、テトリミノの左右移動は押しっぱなしでは反応せず、
一ブロックごとにテンキーを叩く必要があるため、
落下速度が速すぎると物理的に対応できないのだ。
ちなみに88版はジョイスティックに対応していない。
(他機種版では対応していたものもあった模様)


6つのラウンドをクリアすると、風景グラフィックとともにBGMが流れて終了。

PRODUCER
YASUAKI.NAGOSHI

SCENARIO UPDATE
YASUAKI.NAGOSHI

PROGRAMMER
BOB.RUTHERFORD
MR.X

MUSIC
GOBLIN SOUND

SOUND EFFECTS
GOBLIN SOUND

GRAPHICS
HANS.JANSSEN

QUALITY ASSURANCE
TAKAHIRO KOSEKI
SHINICHI KITAMI

SPECIAL THANKS TO
THE STAFF AT B.P.S. 
AND
B.P.S. USER GROUP

 


さて、本作88版の「テトリス」だが、
いまプレイするとテトリス夜明け前”的なプロトタイプ版に思える。
当時もテトリスってそこまで面白くないよね?」といった印象を持った。
そしてご存知の通り、約1ヶ月後にアーケードに登場した
セガの「テトリス」が大ブレイク。
パソコン版「テトリス」とアーケード版のセガテトリス」は根本的に魅力が違った。

・レバー下に入れると落ちるスピードが上がる
・設置から固定までの時間が長く、回転させながら窪みに入れる事ができる
・ステージクリア型ではなく、いかに長く続けられるかのエンドレスな構成
・エンドレスなので、難易度は落下速度の上昇で取られていた

徐々にスピードが上がっていくが、プレイヤーがそれに慣れていくため、
高速で落ちても正確に積む事が出来るようになる。
それが脳内快楽となり、中毒性を生んだというわけだ。
テトリス」は大流行したが、それはセガの「テリトス」の事だったのだ。
セガの「テトリス」の魅力を知るほどにBPSの「テトリス」は物足りなく感じた。
だがそこはパソコンの強み。
セガの「テトリス」をお手本とした
同人ソフトの「テトリスもどき」がたくさん生まれた。

 


Tetras
1989年/NOP Software
決められた数だけのブロックを使って、
指定されたブロックを全て消すパズルになっている。
普通のテトリスルールも収録されているが、
ブロックの形状が原作には無いものが降ってくるのが好き。
(原作再現が遊べるモードもある)

 


Tinker Bell
1989年/Team TBL
決められたりLINE数だけ消すとステージクリア。
女の子の脱衣グラフィックを見る事ができる。
セガテトリスのようなエンドレスモードもある。

 


Brash Point II
1990年/CHARLIE SOFT
セガがアーケードでリリースした
テトリス」のアレンジゲーム「フラッシュポイント」を再現。
最初から積まれているステージで、黄色い玉を消せたらクリア。

 

これら同人テトリスは我が家に残っていたごくごく一部だ。

 


決定盤になるはずだったメガドライブ版「テトリス」は、
権利関係の問題で発売中止。
一般的にはゲームボーイで発売された任天堂の「テトリス」。
パソコンユーザーは同人テトリスで楽しむ時期が続いていたのである。