漫画未完問題について

ベルセルク 41 (ヤングアニマルコミックス)

去年の5月に三浦建太郎先生が54歳で亡くなって、
ダークファンタジーの傑作「ベルセルク」は未完となった。
一人の人間が何十年もかけて創作してきた作品が未完に終わる。
読者も同じ時間を追いかけていったのに
「この作品は終わりませんでした」とハシゴを外される。
虚しい現実だ。
どんなに素晴らしい傑作でも、未完になるとそれ以上の評価は難しい。
これが映画だったら完成しなかった作品は
視聴者にとっては最初から存在しない作品になるので、
全ての映画は完成品として評価の対象となる。
(連作で一本のストーリーとなる映画は別として)
漫画は完成する前から経過を読者が読む仕組みだ。
また一人の人間がとてつもない時間をかけて描くので、
その間に何が起こるかは不確定事項となる。
これは漫画にとっても読者にとっても不幸なシステムである。
そろそろこのシステムにメスを入れてみてはどうだろうか?
例えば漫画を描く前は完結するまでのプロットを書面化する。
そのあとに漫画家はキャラクターデザインや設定資料を作成。
それらが揃ったら漫画家はネームを描く。
このネームをどこまで描き込むかは漫画家の裁量に任せる。
漫画家の仕事はここで終了。
そのネームを漫画制作スタジオで仕上げてもらう。
スタジオは漫画家の用意した設定資料をもとに、
その漫画家が描いたように仕上げる。
「この仕組みだと(読者の反響などを見て)途中で展開を変えたりできないのでは?」
と思われるかも知れない。
そもそもそれは未完成のまま読ませる漫画の仕組みから生まれたものだが、
それをしたい場合は、プロットから練り直し、
完結までのプロットが改修されるまでは休載すれば良い。
この仕組みが良い点としては、
プロットと設定書があれば作者の手から離れても作品が完結できる点だ。
(ネームが完結まで用意されていればなお良い)

上記のような仕組みが確立すれば、
晩年で長期連載する自信が無いベテラン漫画家さんでも
イデアさえあれば挑戦できるようになるではないか。

この仕組みが嫌だという若い漫画家さんも心配ご無用。
その場合は連載という仕組みを利用せず、映画のように完結してから発表すれば良い。
20年以上かけて描いた大長編が、あるときいきなり読み切りとして発表される・・
浪漫があるじゃないかw

何にしてもすでに長期連載中のストーリー漫画を描かれている漫画家さんは、
自分がいなくなっても自分が思い描いている通りに他者が完成できるように
プロットや設定書やネームを残しておいた方がいい。

 

ガラスの仮面 49

我々は「ガラスの仮面」を応援しています。