完璧なるエンターテイメントを追求した映画だけが全てではない。
完璧であるがゆえに退屈になる事だってある。
そんな映画と真逆に位置する存在「バカ映画」。
演出がバカバカしい映画、
金の掛け方がバカバカしい映画、
設定がバカバカしい映画、
制作者達が自らのおバカなセンスに気づいていない映画、
存在そのものがバカバカしい映画。
駄作映画、失敗映画の一言では片付けられない“面白さ”の本質は何か?
俺様はそんな愛すべきバカ映画を研究し、
その本質を解明すべく日々、バカ映画を視聴してきた。
そんな研究の記録を連載で記していきたいと思う。
今回の題材はこちら。
空手バカ一代
東映
ジャンル:カラテ
上映時間:91分
1977年5月14日日本公開
監督:山口和彦
助監督:橋本新一
脚本:掛札昌祐
出演:千葉真一(大山倍達役)
冒頭のナレーション。
「昭和27年、空手界の異端児・大山倍達は、暴力団の用心棒となり、
酒と暴力に明け暮れていた。
だが、空手への執着は捨て切れず、鬱屈した情念が、
倍達を道場破りへと駆り立てていった。」
原作のエピソードをざっくりとまとめていて誤解を生みそうだ(^^;
そして玄武館という道場へ千葉真一演じる大山倍達が道場破りにやってくる。
「ケンカ空手の大山だ。館長呼んでこい。」
何だか原作漫画に比べて横暴な不良空手家に思えるww
玄武館の館長は「百人組み手を受けろ」とのこと。受けて立つ大山倍達だが、
玄武館は分が悪くなると、道場の床や大山自身にオイルをかけて空手を封じてきた。
汚ねぇ~w
ぬるぬるローション相撲みたいな泥仕合になってくる百人組み手(^^;
そしてなんとか館長を打ち倒す大山倍達だった。
そんな大山が馴染みの居酒屋でヤクザ仲間を連れて飲んでいると、
日系の格闘技プロモーターが、大山をスカウト。
沖縄での格闘技興行へ連れてくる。
そこで日系レスラー・グレート山下(室田日出男)、
やさぐれ柔道家・藤田とともに外国人レスラーと異種格闘技戦。
やさぐれ柔道家はかませ犬のようにやられて場外へ放り出される。
大山倍達はなんとか相手をぶちのめすが、
のちほどグレート山下に
「本気で相手を倒すバカがどこにいる。
相手を痛めつけたあとに最後はみじめにやられろ!」
と大山倍達を説教。
いや、そういうのは最初に説明しとけよ。(^^;
次の試合でも相手をボコってしまい、大山と柔道家はクビになるw
そして少年スリ集団に荷物を全て奪われ沖縄へ残る事になる大山倍達・・。
少年スリ集団を見つけ出し、一緒に暮らす事になった大山倍達。
「力なき正義は無能だ。正義なき力はただの暴力だ」と少年に説く大山倍達。
どの口が言ってるんだ。(^^;
少年の一人カズオの姉は結核だった。
治療薬ペニシリンを手に入れるため、頭を下げて再びリングに上がる事に。
「こんどはボス(興行主)の言う通りやりますからギャラを前借りさせてください」
と大山倍達。
だが、その試合で相手レスラーの目を突いてKOしてしまうwww
弁解のしようもないほど不器用だなッ!
ボスの手下達は逃げた大山達を見つけるため、カズオの姉を拷問。
身体に電流を流される姉。
結核の彼女は耐え切れず死亡。
とんだトバッチリだな!
そして居場所が発見された大山達。
興行主の間に入って取り入ってくれたグレート山下もボスの部下に撃たれた死亡。
大山と柔道家は復讐のために興行主の屋敷へ殴り込み。
そこには冒頭で片目を潰した玄武館の館長が!
死闘の末、館長はダメージでフラついて崖から転落死。
屋敷へ戻るとボスに誘い込まれて鏡張りの部屋へ。
映画の大事な最終決戦のシーンで、
思いっきりブルース・リーの「燃えよドラゴン」ラストシーンを引用(^^;
こうして興行主を倒した大山倍達は、
沖縄の海原に向かって逆複式呼吸をするのであった。
「わが道、極真に終わり無し」
かっこよく映画をシメてるけど、
トラブルの原因を作ったのはほぼ大山なんだが・・(^_^;
悪の黒幕っぽく仕立て上げられた興行主も実は被害者だ(爆)
本作は劇画「空手バカ一代」を原作としていながら、
ほとんど劇画のエピソードは採用しておらず、
オリジナルストーリーとなっている。
そのため、主役である大山倍達のキャラクターも大きく異なり、
空手に純粋過ぎるあまり様々な苦難を身に受けてしまう原作に比べて、
千葉真一演じる大山倍達は暴力的でまるでチンピラ空手家である(^^;
原作やアニメの「空手バカ一代」を思い描いて本作を観ると軽く目眩が・・。
千葉ちゃんと言えば実際の極真空手門下生であり、大山倍達の弟子である。
自分の師匠の本人役でここまで破壊的なキャラ作りをして、
後で怒られなかったのかな?(^^;
ちなみに千葉主演&山口和彦コンビで
「空手バカ一代」を原作とする映画は3本目である。
1作目は「けんか空手 極真拳」、2作目は「けんか空手 極真無頼拳」。
興味のある方は3部作続けて観られると良いが、
まずは誤解の無いように原作マンガを読んでおく必要があるだろうw
警戒レベル: