自作ゲームTシャツ その28

1995年にニンテンドーから独創的な商品が発表された。
それはスコープのようなものに覗き込む形のゲーム機で、
その向こうの世界ではグラフィックが立体的に表示されるのだという。
そのマシンの名前はバーチャルボーイと言った。

俺様が初めてバーチャルボーイを遊んだとき、
「このゲーム機は売れないんじゃないだろうか・・」と直感で思った。
その理由は色々とある。
まず画面が赤と黒だけで構成されているのは独得の雰囲気があって良いが、
その向こうに表示されているのはドット絵の世界で、
バーチャルリアリティと呼ぶもののイメージとは違っていた。
3Dの世界ではなく、ペラペラのドット絵が奥行きを持って表示されている世界。
チープさは否めず、既にカラー化していたゲームボーイよりも
劣っているように思えた。
(このときプレイステーションセガサターンは発売済)
また、コントローラにはボタンが沢山ついていたが、
手元が見えない状態ではどこに何のボタンがあるのか確認できず
その設計に難があるようにも思えた。
そして最大の問題はそのプレイスタイルで、
当時テレビゲームは友達みんなで集まってワイワイ遊ぶのが
子供達のオーソドックスなスタイルだったが、
バーチャルボーイのプレイスタイルは、その画面をギャラリーと共有できない
そして携帯ゲームのように持ち歩く事に適さないのに
一台では複数人でプレイできないというものだった。

結果としてバーチャルボーイは世界で77万台しか売れず、
発売されたゲームも19タイトルで打ち止めとなった。
宮本茂さんはこの失敗に関して
「ゲーム機というより“おもしろいおもちゃ”という位置づけで出したつもりで、
“おもしろいおもちゃ”として考えたら5万台でも売れたら大成功だ」
とコメントしている。
だがそれならばカートリッジ式で
ゲームソフトを分けて販売するべきでは無かったと思う。
5万台売れたら良いと思っているオモチャに対して
サードパーティに対応ソフトを売らせるのは酷な話だ。
実際、21タイトルものゲームソフトが発売中止に追い込まれてるわけだし。

そんな黒歴史とも言えるバーチャルボーイだが、
この失敗を糧として3DSでは裸眼で
カラーでの立体視実装を実現したのはさすが任天堂だ。
また、立体視技術を応用したVR機器は現在も進化を続けているが、
それらの足跡を辿れば、ヴァーチャルボーイの亡骸が眠っている。
そんな偉大な英霊に万感の思いを込めて
このTシャツを作ってみた。

 

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赤と黒を貴重としたカッコイイそのボディ。
その存在を知らない人のために説明書きも添えた。
これで俺様はどこでもレッドゾーン突入できるってもんよ。