アレックスキッド with ステラ ザ・ロストスターズ
1986年リリース
「アレックスキッド」はセガの歴史の中で異例のシリーズとなっている。
まず登場したのがセガマークIII向け「アレックスキッドのミラクルワールド」。
これがなかなかの良作アクションゲーム。
マークIIIと言えばアレックスキッドを思い浮かべる人も多いだろう。
日本ではマークIII自体が普及できなかったのでアレックスキッドもマイナーであるが、
海外では日本では考えられないほどの人気キャラクターだ。
そんなアレックスキッドだが、
なぜかセガはシリーズ2作目をアーケード向けにリリースした。
コンシューマ向けゲームで誕生したキャラクターやタイトルの続編が
アーケードに出たのはセガの歴史でも初ではないだろうか?
「アレックスキッド with ステラ」というタイトルが表しているように、
本作はステラというヒロインが登場し。
2P同時プレイで2P側がステラを担当する事になる。
ゲームは超シンプル。
操作は基本ジャンプのみ。敵を踏んで倒す事は出来ない。
アイテムを取ると一定時間ショット攻撃が出来たり、
ジャンプが高くなったり、スピードが上がったりする。
だがすぐ終わってしまうので、メインのゲーム性には絡まない。
さて、この「ザ・ロストスターズ」だが、
アーケードゲームとしては大きな欠陥がある。
まずグラフィックがシンプルなタイルパターンの組み合わせで淡白だ。
しかも1ステージがやたら長く、いつまで進んでも景色に変化が乏しい。
そしてジャンプで避けていくべき敵の動きが最初からいやらしく、
油断すると瞬殺される。
つまり、シビアな敵の攻撃ですぐに100円を消費されるのに、
「コンティニューしてでも先が見たい」という気が起こらないのだ(^^;
家庭用ゲーム機向けなら何度も何度もチャレンジして
少しずつ攻略していく楽しさは味わえるが、
アーケードゲームはそのたびに100円が必要となる。
プレイヤーに連コインさせる仕組みと相性が良いゲームとは思えない。
また、本作の売りである「2人同時プレイ」であるが、
ジャンプで避けるだけのゲームなので、
2人で一緒に遊ぶ事は“足手まといが増えるだけ”になっている。
「2人で協力するとより良いプレイができる」要素が無い。(^^;
ともすれば、「2人同時プレイ」を実現させたがために、
前作「アレックスキッドのミラクルワールド」より
簡素なゲームデザインになったのではないか?という疑いまで生まれる。
(これ「ドラゴンバスター」とか「源平討魔伝」と同じ時期のゲームだからね)
ゲームは星座盤の一つ一つがステージとなっており、クリアすると星座が光る。
半分まで光らせると一度目のエンディングがあり、
残り半分は最初のステージからもう一周する事になる。
最終ステージは脳みその中みたいなところを抜け、
重力の軽い宇宙ステージの先に自由の女神が待っている。
この中に入ると星座が完成してゲームエンド。
全ステージ遊んでみて、やっぱり家庭用っぽいよ、このゲーム。
俺様自身、「アレックスキッドのミラクルワールド」が大好きだっただけに、
本作をプレイして当時ガッカリした事を記憶しているが、
Wikipediaによると「日本市場ではアーケード版は好評だった」と記載されており、
“好評”とはどういった裏付けから判定されたものなのか気になるところ。
余談だが、本作で登場したヒロインのステラ。
他のアレックスキッドシリーズには一度も登場せず、
本作の移植作となったマークIII版でも(2人同時プレイがカットされたため)存在せず、
幻のキャラクターと呼ばれている。