プロレス回顧録(08)「1987.3.12 全日本プロレス ザ・ロード・ウォリアーズvs天龍源一郎&ジャンボ鶴田」

ザ・ロード・ウォリアーズアニマル・ウォリアーが逝ってしまった。
パートナーのホーク・ウォリアーは2003年に心臓発作で先に逝っている。
今頃はあっちの世界で暴走コンビを復活させ、暴れまわっている事だろう。
そんなザ・ロード・ウォリアーズを回顧してみたいと思う。

その昔、「世界のプロレス」という番組があった。
ビデオすらまだ普及していない時代。
テレビ中継は「全日本プロレス」と「新日本プロレス」。
外国人レスラーと言えばその二団体に来日する選手が全てだった。
だが「世界のプロレス」はその窓を開けてくれた。
アメリカのNWA、AWAなどを中心とした
海外のプロレス団体の試合を放送するという奇跡のような番組であった。
そこではまだ見ぬ強豪達の動く試合が次々と紹介されていった。
その中にまるで「マッドマックス2」に出てくる悪党のような
凄い存在感のタッグチームがいた。
それがザ・ロード・ウォリアーズだった。
その映像を見て「海外にはこんなヤバイ人達が実在するのか・・」と目を丸くした。

余談だがザ・ロード・ウォリアーズのキャラクターは
実際「マッドマックス2」をベースに構築されたものである。


1985年3月8日。
映像の中の登場人物だったザ・ロード・ウォリアーズ
全日本プロレスが招聘する事に成功した!
初来日の相手はキラー・カーンアニマル浜口組。
入場時に流れるBlack Sabbath「IRON MAN」はベストな選曲。
最初のギターの「ギュゥ~ン」てとこからテンションが一気に上がる。
試合は浜口が最初からボコボコにされて短時間で終了。
以後、短時間で圧勝するチームとしてインパクトを残していく。
(このパターンはのちのゴールドバーグにも影響を与えていると俺様は思っている)

そして1987年3月12日
天龍源一郎ジャンボ鶴田という
全日本プロレスの日本人最強コンビの持つインターナショナル・タッグ王座に挑戦。
ザ・ロード・ウォリアーズの勢いと人気が
凄いものであった事がわかるマッチメイクだ。
入場はチャンピオンの鶴竜コンビが先。
そして「IRON MAN」が流れると大歓声。正直、鶴龍コンビよりも歓声が大きい。
もう入場から世界観持っていくんだよなぁ~。

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トゲトゲがいっぱいついた入場コスチュームを脱ぐと、
ホークもアニマルも筋肉モコモコ。

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体もデカくて、鶴田と天龍が小さく見えるという異様な光景。
試合は鶴田とアニマルの組み合わせからスタート。
アニマルがフライングショルダータックルから
巨漢の鶴田をリフトアップ!

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スゲェ~!
動きは見た目に反してアニマルの方がスマート。
ホークは力任せに暴れてる感じだ。(技のフォームが粗い)
終盤に天龍が捕まる。
アニマルからパワースラムを受けた直後にダブルインパクトで狩られ、
さらにリフトアップスラムで投げられる。
場外に逃げたかと思えばそこでツープラトンのパイルドライバー。

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天龍はリングに復帰できず、
11分17秒、リングアウト勝ちでザ・ロード・ウォリアーズがベルト奪取!

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鶴龍コンビの見せ場と言えばダブルの延髄を決めたあたりぐらいで、
あとは防戦一方で台風被害に見舞われたような試合だった。

 

ザ・ロード・ウォリアーズは、その凶暴なキャラクターでありながら、
反則を繰り返したり、卑怯な手を使ったりといったヒール的な動きはせず、
ただ真正面からパワーで相手チームを圧倒するというスタイルが鮮烈で、
ファンの心を掴んだタッグチームだった。
余談だが、その後1988年に全日本へ初来日したジョニー・エース
アニマルの実弟であるが、
スマートな正統派レスラーで意外だった。


ホーク、享年45歳。アニマル、享年60歳。
エネルギーの塊のような二人だった。
これほどのインパクトを残すタッグチームは二度と出て来ないだろう。