プロレス回顧録(06)「'90スーパーファイトIN闘強導夢 ビッグバン・ベイダーvsスタン・ハンセン」

1990年2月10日。
新日本プロレスは「'90スーパーファイトIN闘強導夢」という
東京ドーム興行を計画していた。
その日のメインは海外でスーパースターとなっていた
ザ・グレート・ムタ(武藤敬司)を凱旋帰国させ、
リック・フレアーとのシングルマッチ
つまりはWCWのドル箱カードを大々的に披露する予定だった。
だがリック・フレアー、まさかのドタキャン。(^^;
前年に新日本プロレス社長になっていた坂口征二
困って全日本プロレス馬場さんに相談した。
ちなみにこのずっとあとにリック・フレアーは同じようなドタキャン劇をしており、
そのとき招聘した全日本プロレスの会長も武藤敬司だったw

相談を受けた馬場さんからは
「お前の社長就任祝いに選手貸してやるよ」
と快い返事が返ってきた。

そのカードは、
ジャンボ鶴田谷津嘉章vs木村健悟木戸修
天龍源一郎タイガーマスク(三沢光晴)vs長州力ジョージ高野
鶴田、天龍と言えば全日本の主力。
タッグとはいえ出し惜しみ無いカード。
全日本の選手が新日本に出るというだけで奇跡のような時代である。
そしてIWGPヘビー級王座であったビッグバン・ベイダー
全日本のNo.1外人選手、スタン・ハンセン!
全日vs新日のシングル対決を外人に任せてお茶を濁したわけではない。
ビッグバン・ベイダーと言えば
当時最強外国人と言われ新日マットを席巻していた存在。
そしてスタン・ハンセンは言わずと知れた日本マットに名を刻んだ
当時でも超一線級を守り続けたトップ外国人選手。
まさに新旧怪物頂上決戦といったカードだったのだ。

試合が始まると、とにかくボコボコに殴る、掴み合う、エルボーを叩き込む!
スーパーヘビー級の体同士が腕をぶんまわし続ける怪獣大戦争だ。
そして最初にグランドに引き込んだのはベイダー。
脇固め気味にハンセンを押さえ込む。
そしておもむろにグランドを解くと、ベイダーが突然マスクを脱ぐ。
オーロラビジョンにベイダーの顔が映し出されると、会場が一気にどよめく。
ベイダーの右目が腫れ上がってお岩さん状態になっている!

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序盤の打撃戦でハンセンの打撃が目を直撃したのか?
見た目超ヤバいんだけど、服部レフェリーまったく試合止めず。(^^;
だけどこの後のベイダーがハンセンの肋骨を狙った攻撃も凄かった。
苦しむハンセン。
最後はお互いにラリアットを打ち合った後にリング外へ。
15分47秒、両者リングアウトで引き分け。ベイダーの王座防衛。
IWGPヘビー級のベルトが全日本に流出するわけないとは思っていたが、
暴走が止まらない二人がそのまま両リンというのは説得力があったし、
この試合は結果ではなくぶつかり合いを目撃する事に意義があったと今でも思う。

この試合が凄すぎて、セミファイナルにマッチングされた北尾光司デビュー戦が
失笑の嵐だった事は気の毒であった。
プロレスが上手くない北尾と気をつかい過ぎの対戦相手ビガロ。
横綱というネームバリューだけのセミファイナルは失策だった。