プロレス回顧録(07)「1989.5.4 U.W.F FIGHTING SQUARE 安生洋二vs船木優治」

1989年6月14日に新日本プロレスから新生UWFへの移籍デビュー戦を果たした船木。
デビュー戦の相手は同時期に移籍してきた藤原喜明
そして2戦目はアメリカンプロレスからUに参戦してきたボブ・バックランド。
その試合で船木はコーナーからのミサイルキックをバックランドに放って反則負け。
この頃、船木はスタイルに迷っていたのだろう。
UWFという舞台で別のものをやろうとしている雰囲気があった。
そうして迎えた1989年6月14日愛知県体育館大会「U.W.F FIGHTING SQUARE」
その相手は第1次UWFで新弟子として入門した純正U戦士である安生洋二
果たして船木は何を目指しているのか?
それを示すには格好の相手であった。

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試合開始前、安生が握手を差し出すが、船木は顔を張る。
バチバチと打撃でもみあう。
だがそこからすぐにグランド主体の試合に移行。
どちらかが関節を極めようとすると器用に足や腕を絡ませて反転するなど、
その細かいテクニックに「おおー!」と観客がわく。
見応えのあるグランドの攻防。それが船木のやりたいスタイルなのかな?と思った。
安生もそれに真正面から付き合っている。
試合中盤、安生がミドルキックを連打すると、
船木は堰を切ったようにニールキック2連発。
コーナーへ逃げる安生に美しいフォームのハイキック!

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こういうキメるところでキレイに決められるのが船木のスター性。
試合終盤、スタミナの切れ始めた安生をダブルアームスープレックスで投げると、
そのままロックを外さずにバタフライロック!

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当時はそんな名前の技じゃなかったんだろうけどw
今はYOSHI-HASHI選手が使ってる技だね。
話はそれるけど、この技がバタフライロックという名前になったのは、
蝶野正洋が初披露してから。
その使った試合がUインターと新日本との対抗戦で、
この技で安生からギブアップを奪っている。
こういう細かいドラマがあるのもプロレスの面白さだ。

試合に戻ろう。
船木が組み合っているときに安生の足に
「けたぐり」のような形でコツコツとダメージを与えていたのも印象深い攻防。
最後は船木がバックを取り、スープレックスにいこうとしていたところを切り返し、
安生が逆腕固めを極めて勝利。

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「え!安生勝つのかよ!?」って当時は思った。(^^;
このあと、1989年7月24日博多スターレーン大会
「U.W.F FIGHTING SQUARE HAKATA」で、
安生は団体トップである前田日明とのシングル戦が実現する。

船木はというと、この年の11月29日に東京ドームで開催された大一番、
伝説の「U-COSMOS」に出場予定し、
キックボクサーのモーリス・スミスと対戦予定であったが、
練習中に前腕を骨折し7ヶ月間の長期欠場。
モーリス・スミス戦は鈴木みのるに譲る形となった。