東京ゲームショウを終えて

東京ゲームショウを終えて
帝王幻一郎はこんな事を考えた。
 
エンターテイメント文化の発展において
最も大切なものは“多様性”である。
 
そしてその“多様性”において対応力の優れたメディアがビデオゲームであると思う。
その“多様性”を発揮し、発展してきた事を歴史は証明している。
 
1972年、アーケードゲーム「PONG」の登場から36年の月日が流れ、
良くも悪くもゲーム会社は成熟した。
大手ゲーム会社のブースを眺めるとその傾向は明らかだ。
それがビジネス的な成功を収める事ができるか?
数字を残すために選択されたそれらは、
“多様性”とは真逆の「誰もが想像できる安牌のエンターテイメント」に収まっている。
タイトル単位では安定した数字を残すだろう。
たが、“多様性”を失った土壌は、見えない根腐れに侵食されていく。
日本の他業種にも見られる大企業病と似た現状だ。
リスクを拾わない事で安全が維持できるという思想に毒されている。
 
悲観ばかりの現状ではない。
別館で展示されていたインディブースに目を向けてみる。
そこの光景は大手ブースとはまるで違っていた。
オリジナリティを発揮しなければ生き残れないインディ市場。
それが自然発生的に“多様性”を生み、
豊かな土壌を育もうとしている。
彼らの多くがリスクに潰され消えて行くだろう。
だが、そこで生き残った一部が、
10年先、20年先のビデオゲーム業界の礎となっているかも知れないとそう思った。

帝王幻一郎