バカ映画大研究(5)「激突!殺人拳」

完璧なるエンターテイメントを追求した映画だけが全てではない。
完璧であるがゆえに退屈になる事だってある。
そんな映画と真逆に位置する存在「バカ映画」。
演出がバカバカしい映画、
金の掛け方がバカバカしい映画、
設定がバカバカしい映画、
制作者達が自らのおバカなセンスに気づいていない映画、
存在そのものがバカバカしい映画。
駄作映画、失敗映画の一言では片付けられない“面白さ”の本質は何か?
俺様はそんな愛すべきバカ映画を研究し、
その本質を解明すべく日々、バカ映画を視聴してきた。
そんな研究の記録を連載で記していきたいと思う。

今回の題材はこちら。

 

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激突!殺人拳
東映
ジャンル:カラテ
上映時間:91分
1974年2月2日日本公開
監督:小沢茂弘
脚本:高田宏治、鳥居元宏
助監督:皆川隆之
出演:千葉真一(剣琢磨役)

 

2021年8月19日。
日本のアクション映画界を牽引し、
世界ではサニー・チバの名前でリスペクトを集めた
チバちゃんこと千葉真一さんがコロナウィルスによりお亡くなりになった。
チバちゃんと言えば柳生十兵衛など、時代劇のイメージが強いが、
1970年代にはブームになっていたカンフー映画に対抗すべく、
カラテ映画を量産していた事はご存知だろうか?
独得の作風で数々の名作・珍作を残しながら、
カンフー映画のブームが去ると、同時にあまり作られなくなったカラテ映画。
それを知らずして過ごすのは日本人として生まれながら勿体無いので、
今日から3日間、チバちゃん主演のカラテ映画をご紹介したいと思う。

 

「激突!殺人拳」の主人公は、空手を使うプロの殺し屋・剣琢磨。
彼は依頼を受け、沖縄空手の達人でありながら死刑囚の志堅原楯城を脱走させる。
依頼主は志堅原楯城の弟・義順と妹・奈智であった。
志堅原楯城を香港に逃がした剣琢磨は、
残りの依頼料を請求するが、二人は「実は前金しか無かったんだ!」とか。
最初から踏み倒す気満々だった二人にキレた剣琢磨は、
妹の奈智を売り飛ばそうとする。
弟・義順は「てめぇそれでも人間か!」と逆ギレ(^^;
許してもらえないとみるや剣琢磨に襲いかかる二人。
蹴散らされても諦めない弟・義順は飛び蹴りを放つが、
そのまま窓を突き破って落下死。
残された妹・奈智はヤクザの牟田口組に売り飛ばされ、
クスリを打たれた上に集団レイプされるのだった。
(デビュー1年目の志穂美悦子にも容赦ないJAC)

 

そんな牟田口経由で極東マフィア組織の五竜会から
石油王の娘サライ誘拐を依頼される。
だが剣琢磨は依頼を断り、逆にサライの身辺警護を買って出る。
その方が石油王の財産を一人占め出来ると思ったからだ。
五竜会は、殺し屋ディンサウを始めとした個性派の殺し屋達を日本に送り込む。
2度までも連れ去られたサライを追って、舞台は神戸の豪華客船内へ。
そこには黒幕だった石油会社副社長のジャード五竜会会長キングストンなどがいた。
そして剣琢磨への逆恨みを果たそうとする志堅原楯城と妹・奈智も!
「剣琢磨と志堅原は宿敵同士だからフェアに決着をつけさせたい」
とディンサウが提案。
1vs1で戦い始める剣と楯城。たまらず剣琢磨に発砲するキングストン
「汚ねぇマネしやがって!」青竜刀でキングストンを刺し殺すディンサウ。
勢いで何もしていないジャードも刺し殺すディンサウw

さらに続く死闘の最中、妹・奈智が剣琢磨に抱きつく。
兄さん!あたしの体ごと刺してーーーっ!!」
妹・奈智の背中を貫通させて剣琢磨にサイ(武器)を突きたてる志堅原楯城。
倒れてビクビクと痙攣する剣琢磨にとどめの拳を打ち込もうとする楯城だったが、
逆に喉元を掴まれ、喉仏ごと引きちぎられて逆転負け。
フラフラと立ち上がる剣琢磨。
その肩を支えるサライディンサウのカットで映画は終わる。
・・・。
ディンサウ、どの立場だよッ!

 

本作は千葉ちゃんの顔芸が冴え渡る傑作カラテ映画。
関根勤がモノマネしているのも主に本作の剣琢磨である。

 

警戒レベル:

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