わが青春のPCエンジン(111)「メルヘンメイズ」

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メルヘンメイズ
(ナムコ)
1990年12月11日/アクション/5500円

 

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メルヘンメイズ」は1988年7月にナムコから
アーケード向けにリリースされたアクションゲームで、
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』を題材に作られた
ファンシーなキャラクターや世界観が魅力のゲームだった。
それから約2年半の時を経てPCエンジンに移植されたのが本作である。

 

ナムコのPCエンジンソフト17作目。
これまでナムコがアーケードから移植したPCエンジンソフトは、
アーケード版をトレースする事にかけて一目を置かれていた。
ファミコンでは実現できない
アーケード版のプレイ感覚をPCエンジンで再現する事は、
PCエンジンの魅力を牽引する一つの要素となっていたのだった。
(「源平討魔伝」や「スプラッターハウス」が代表的なタイトルだろう)

ところがこの「メルヘンメイズ」はそれらとは違う作りをしていた。
アーケード版の「メルヘンメイズ」はクォータービューのゲームだったが、
PCエンジン版はトップビューの縦スクロールに変更されている。

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それだけでもう全然違うゲームなわけだが、
ステージ構成や敵の種類や配置まで一新され、
同じ世界観を持つ別ゲームとなっている。
普通に考えたら開発難度の高いクォータービューを避けたと思われるが、
「クォータービューは売れないので縦スクロールに変更して欲しい」
という営業サイドからの要望だった・・という関係者の証言もあるようだ。

 

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「・・・・・・。」
「・・・ねえアリス!起きてよ、起きてってぱ。ねえ、アリス!」

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「ふにゃ、だあれ?だれかあたしのこと呼んだ?」
「ここだよ、アリス!」
「えっ!!なっなんなの!?」
「たすけてください!わたしたちの住んでいる鏡の国が、
悪い魔女によって征服されてしまったんです!」
「どうしてあたしが?」
「私達と話ができる人しか、鏡の中に入れないのです。」

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「さっはやくっ!」
「きゃっ!」

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「あーん、どうなってんの?」
「そうだ、忘れていました。この魔法のストローを持っていって下さい。」
「なんなのこれ?」
「ここから出てくるしゃぼん玉が、やつらは大嫌いなんです。
さあ、ここからは一人で行って下さい。がんばって!」
「えっ、そっそんなあ!」

 

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8方向に移動し、ゴール地点を目指す。
敵やトラップと接触するとアリスは弾かれ、谷底へ落ちると1ミス。
風船があればその場で再開できる。
アーケード版にあった制限時間やスコアの要素は無い。
敵を必ずしも倒す必要は無く、邪魔な敵をしゃぼん玉で排除しつつも、
ジャンプで攻撃を避けて進む。
攻撃ボタンを長押しすると大きなしゃぼん玉を出せるが、
タメる時間あったら先へ進んだ方が効率的だ。

 

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ゴール地点はボスが待ち受けており、しゃぼん玉を当てて倒す。

ギミックなどは追加されていくが、基本的には同じような構成で、
おかしの国、きかいの国、みどりの国、こおりの国、じかんの国、
みずの国、そらの国、かがみの国、女王の国・・
という全9ステージを駆け抜ける。

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後半のステージは次から次へと敵が湧いて出て難しかったな~。

 

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「ありがとうアリス。おかげでこの世界も救われました。」
「えへっ。照れちゃうなあ。」
「ところでアリス。女王をどうして倒せたのか、わかりますか?」
「うっ、しゃぼん玉でやっつけたからでしょ?」
「ええ、だけどしゃぼん玉の力だけでは、あの女王は倒せないのです。」
「じゃあどうして?」
「そこに愛と勇気と夢が入ってたからなんです。」
「愛と勇気と夢?」
「そうです。その3つが女王は大嫌いなんです。」
「いいですかアリス。その3つは元の世界に戻っても、
そしてアリスが大人になっても忘れないで下さい。
きっと、どんな事にあってもそれさえあれば、乗り越えられるはずです。」
「うん、忘れない。それにうさぎさんの事も。」
「私も忘れません。さあ、そろそろお別れです。」
「ねえ、また会える?」
「ええ、またいつかきっと……さようならアリス。本当にありがとう。」
「さようなら、うさぎさん。元気でね。さようなら。」

「アリスー!もう朝よ起きなさい!」

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「・・・・・・。」

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「むにゃむにゃ。はーい。
あれー、あたしどうやって戻ってこれたのかしら?」
「アリスー、スープが冷めちゃいますよっ!」
「あっはーいママ。いま行くわ!」

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「おはようママ。あのね、
あたしうさぎさんの国を悪い魔女から救ってあげたのよ!」
「あらそう、良かったわねえ。さっ早く食べなさい、遅れちゃうでしょ。」
「ママ、ちゃんと聞いてよ!
あのねうさぎさんの国ってね、鏡の中にあるのよ。それにね、」

「ねうママ、きいてるの・・・?」

 

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STAFF

GAME DESIGN
TAKE

BACK GROUND DESIGN
ARG

CHARACTER DESIGN
KOJI 78

SUB DESIGN
KINGYO

MUSIC COMPOSE
KOBA

MUSIC TRANSLATE
NORIRIN

MUSIC PROGRAM
KAERU.T

PROGRAM
NAK

PRESENTED BY NAMCO

 


さて、本作で採用されなかったクォータービュー。
これが移植ではなくオリジナルゲームであれば
「トップビューにする」という営業的判断は間違ってはいないと思うが、
原作は既に知られているわけで、
「妥協の産物」と見えてしまっており、
俺様の周囲では本作はそれほど高い評価は得られていなかった。

アーケード版メルヘンメイズのアートワークだと、
アリスはもっと頭身の低い幼女だったが、
本作では頭身高めにリデザインされている。
パッケージイラストやタイトルビジュアルを見て頂ければわかるように、
リデザインされた本作もとても可愛く描かれている。
このタイトルだったらロムロムで開発して、
ゲーム間のビジュアルシーンなどでキャラ演出を強化していたら
もっと違った評価を受けていたんじゃないかと空想する。

 

開発したのはアーケード版と同じ「NHシステム」という会社だが、
完成直前に「NHシステム」が倒産し、
「ノバ」という会社が引き継いで仕上げたらしい。