会社清算のその日

みなさんは会社が無くなる瞬間を体験した事があるだろうか?
俺様の想像はこうだった。

その日は就業終了時間まで粛々と荷物を整理する。
最後は雑巾をかけてホコリ一つ無い状態に戻す。
そして各々が私物を持って会社ビルの外へ。
誰もいなくなったビルを見上げながら、整然と列を作る従業員。
そして社長が従業員の方へ振り返る。
「これまで長い間、会社のために尽くしてくれた君達を誇りに思う。
会社は今日で無くなってしまうが、
これまでの時間を一緒に戦ってくれた同胞諸君に心からの感謝と、
力及ばずこのような結果になってしまった事を心から謝罪したいと思う。」
そう言って一人一人と握手を交わす社長。
そして涙を流す者が一人、また一人。
最後には全員が号泣している。
「諸君達の次なる船出が成功する事を祈る。では、株式会社◯◯に向けて敬礼!」
全員が手を額に当て、声を合わせる。
「◯◯年間、ありがとうございました!」

・・みたいな感じだ。
ところが現実は違った。
いつもと変わらず作業を続ける従業員。
時計が16時を過ぎると手配をしている担当者が
「みなさーん、業者来ちゃうんで片付け急いで下さーい」
そして部長クラスが簡単な挨拶をして各々解散。
社長はそこにはいなかった。
社長はとっとと次の職場を決めちゃってて、
そっちの打ち合わせや会議が抜けられなくて不在とのこと。
なんだそれ・・。
自分の会社が無くなるその日にいないのかよ・・。
もうこの日まで残った従業員は興味の対象外かよ・・。
俺様はその会社に20年いた。
それでも会社の清算が決まって以後、彼から一言も無かった。
たったの一言もだ。
個人的な感情はともかく、
どんだけ重要か知らないが、
この日ばかりは会議を延期してでも
顔を見せるべきだったと思うけどね。
ここでの印象が巡り巡って
自分の糧になる事もあるとは思えないかね?
武田信玄も言ってたじゃん。
「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」って。
人の感情を無下に扱う人間は、
いつか人から無下に扱われてチャンスを失うと俺様は思うぜ。
会社がダメになった原因も根本ではそういうところにあるんじゃないか?
 
ブログで愚痴っぽいネタを書くのは好きじゃないんだが、
今回は滅多にある事じゃないので許してちょーだい。
滅多にあってたまるか!