スネーキーモンキー蛇拳
1978年制作
香港
[原題]蛇形刁手
[英題]Snake In The Eagle's Shadow
監督:ユエン・ウーピン
製作総指揮:ウー・シーユエン
脚本:奚華安、クリフォード・チョイ、ウー・シーユエン
音楽:周福良
製作会社:シーゾナル・フィルム社
上映時間:98分
日本公開日:1979年11月17日
出演:ジャッキー・チェン(ガンフー役)、
ウォン・チェンリー(ショングン・ヤッワン役)、
ユエン・シャオティエン(バク・チョンティン役)、ディーン・セキ(リー師範役)、
ロイ・ホラン(ロシアの宣教師役)、チン・シン(足の悪い料理人役)
製作年度のジャッキー年齢:24歳頃
まずはジャッキーの「蛇拳」套路を披露するオープニング。
これが見事。
この手を蛇の形にして戦う拳法は、ジャッキーが考案したものだという。
蛇形塾を目の敵にする鷹爪塾のショングン・ヤッワン。
塾頭のジウはショングンに倒されてしまう。
だが、蛇形塾にはまだ彼の息子と達人のバク・チョンティンが生き残っていた。
ホン・タイ武館という道場で
下働きをさせられていたジウの息子ガンフー(ジャッキー)。
いつも道場の師範らにいびられている。
ある日、大勢に囲まれて襲われている老人を助ける。
その老人こそバク・チョンティンであった。
彼はガンフーに蛇拳の極意を教えようと、
皿を取り合う遊びをしたり、歩法を学ぶ印を残したりする。
その後、刺客に襲われ負傷したバクを介抱するガンフー。
それをきっかけに本格的に蛇形拳を学ぶ事になるガンフー。
特訓シーンでだんだん様になっていくのが痛快だ。
ある日、ホン・タイ武館に道場破りがやってくる。
師範代2人はあっさりと叩きのめされ、
ガンフー以外の道場生は見限って相手側の道場へと行ってしまう。
旅に出ていた道場主が帰ってくると、その惨状に憤慨。
相手の道場へと出向くが返り討ちにあってしまう。
それを見兼ねたガンフーが蛇形拳を使って戦いを挑み勝利。
だがその光景をショングンに目撃されてしまうのだった。
ショングンはガンフーにバクの叔父だと嘘をつき近づく。
手合わせで全く敵わないガンフー。
あるとき、猫がコブラをその爪で殺すのを見て、
蛇形拳に猫の動きを組み合わせる事を思いつく。
ただ習った事をマスターするだけでなく、
自らのアイデアで発展させていく展開は実際の拳法でもある事で、
そのあたりを映画に組み込んでいるのも印象深い。
その頃バクは、蛇形拳の刺客に襲われるが何とか撃退。
ガンフーの元に戻るが、ショングンの罠を察知して逃走。追うショングン。
異変を感じて2人を追うガンフー。
そこへ宣教師が襲いかかる。
宣教師は仮の姿で、蛇形塾に雇われたロシアの暗殺者だった。
だがガンフーの猫爪拳によって散る。
バクのピンチに間に合ったガンフーはシャングンへ勝負を挑む。
そして猫爪と蛇拳を組み合わせて死闘に勝利するのであった。
このあとホン・タイ武館で世話を焼いてくれていたオジさんがやってきて
「俺も鷹爪塾の刺客だったのだ!二人に毒を盛ってやったわ!」と言ってくるが、
バクが猫舌だったので毒を飲まずに済んでいた。
オジさん返り討ち。めでたし。
本作の当時、ジャッキーはロー・ウェイの契約下にあったが、
若い制作会社「シーゾナル・フィルム」での出演を依頼された。
経営難に陥っていたロー・ウェイはこれを快諾。
レンタル出向という形で主演する事になった。
ロー・ウェイ作品は自分の資質と合わないと感じていたジャッキー。
シーゾナル・フィルムの画策していた
カンフーとコメディを融合した新しい作風との出会いは運命的だった。
水を得た魚のように魅力的なキャラクターを発揮するジャッキー。
本作の監督に抜擢されたのは、
のちにカンフー映画を代表する監督の一人となるユエン・ウーピン。
初監督作となる。
そして本作でジャッキーとの名コンビとしてブレイクしたユエン・シャオティエン。
ユエン・ウーピンのお父さん。
当時ほぼセミリタイヤ状態だったが、息子のために復帰。
日本でも「カンフーの師匠」と言えばこの人の顔が浮かぶほど有名になる。
また、貫禄あるラスボスのシャングンを演じたウォン・チェンリーは、韓国の武道家。
ジャッキーとのバトルシーンで謝って
蹴りでジャッキーの歯を折ってしまうアクシデントがあった。
この映画のウォン・チェンリーの容姿には既視感があると思うが、それもそのはず。
漫画「ドラゴンボール」に登場する桃白白(タオパイパイ)のモデルとなっているのが
ウォン・チェンリー演じるシャングンなのだ。
なお、その桃白白をモデルに作られたのが
ビデオゲーム「バーチャファイター」のラウなので、
当然ながらシャングンとラウは似ている。