やっぱりセガが好き第93回「電忍アレスタ」


電忍アレスタ
コンパイル
メガCD/1992年11月27日/シューティング/6800円

 


1990年12月21日に発売された「武者アレスタ」。
コンパイルのアレスタシリーズに和風のデザインを融合させたそれは、
ゲーム自体のデキの良さからも多くの評価を得た縦シューティングだった。
そんな「武者アレスタ」のコンセプトを継承したかのように思えるタイトルが、
メガCD向けに発表された。
それが本作「電忍アレスタ」だ。
「武者アレスタ」は東亜プランが販売を行っていたが、
本作はコンパイルが開発も販売も行った。
コンパイルメガドライブ参戦第一弾であった。
なお、本作はコンパイル10周年記念作品”という冠もついていた。

「電忍アレスタ」は「武者アレスタ」と世界観的な直接な繋がりは無い。(と思う)
というのも、「武者アレスタ」は和風なデザインを取り入れていただけで、
それまでのアレスタのように科学的な未来世界を舞台にしていたが、
本作は日本の戦国時代を舞台にしている。
つまり“和風”ではなく“和シューティング”なのだ。

 


今より時を遡ること四百と数十年。
折しも日本は群雄が割拠する戦国の時代。


数多の戦国武将達が天下に覇を唱えるべく、激しい戦いを繰り広げていた。
応仁の乱を契機として始まった下剋上の世は、
人と人、馬と馬、刃と刃を交え合ういくさこそが、この時代の常であった。


がしかし、西暦1543年。
薩摩の離島、種子島に一隻の異人船が漂着した事により、
いくさはその形を劇的に変化させた。


「鉄甲兵」。
鉄砲とともに異国よりもたらされたその人型兵器。
身長8m強。


蒸気機関によって駆動し、強力な火気を装備する。
その圧倒的なパワーは、鉄甲兵一機で騎馬武者300騎にも匹敵した。


また、異人が乗ってきた船は「飛空船」と言い、
天翔ける船として、鉄工兵とともに急速に全国へと広まっていった。


その結果、時代の変化についていけなかった国々は淘汰され、
時流に乗った列強のもとに吸収されていくのであった。

西暦1556年。
この時点において生き残りを果たした戦国大名は、


織田信長


武田信玄


上杉謙信


毛利元就


斎藤道三


長宗我部元親


島津貴久


今川義元の八家となり、


その中でも尾張の国を拠点とする織田家は、
当主信長の天才的才気により、着実に勢力を広げつつあった。
ところが、その年の4月、

同盟国である美濃の国の当主斎藤道三が、
実子義龍により謀殺されると、織田家を取り巻く状況に変化が現れ始める。
織田家の本拠地である名古屋城に道三謀殺の情報が入ったとき、


毛利元就を盟主とした六戦国大名による反織田連合が結成された。


第1軍となった今川義元は、三河方面において、
織田配下、柴田勝家軍に総攻撃を加えていく。


圧倒的物量戦術の前に柴田軍は壊滅。
さらに西方及び北方からの同盟軍侵攻の報に
もはや織田家は滅亡の危機を回避できない状況に陥っていた。

だが織田家にはまだ、隠された戦力が温存されていた。


白牙忍軍。駿府城の山中に住む、
鉄工兵の改良型である電忍を駆使し、
敵陣の撹乱等にあたる秘蔵の忍者軍団である。
そして今、この危機的状況を打開すべく、
白牙忍軍に出動の命が下った!

 


影狼「いくぞアレスタ!お前の力をみせてくれ!!」

 


これまでのアレスタ同様に縦スクロールシューティング。
方向ボタンで自機を8方向に移動。
Bボタンでショット。通常弾と特殊弾を同時に発射する。
Cボタンで自機のスピード切り替え。(8段階)
Aボタンを押しっぱなし、オプションが発光してから離すと、
前方にオプションを射出するのだが、
この攻撃を効果的に使う方法がよく分からず、最後まで使用しなかった。
敵を倒したときに出現するパワーチップを取り続けると
通常弾が6段階まで強化される。


キャリアが運んでくる特殊武器は4種。
雷閃波・・・・前方にレーザーを発射する
爆柳鳳仙花・・放射線を描いて爆雷を投下する
飛影滅風陣・・周囲に敵弾を防ぐ光の尾が回る
風車手裏剣・・前方に拡散する手裏剣を発射する
同じ種類を取り続けると4段階までパワーアップする。




影狼「こ、これはっ?何ということだ。臥竜斎師匠!!」


鉄「はははははっ!やはり貴様がアレスタに乗っていたか。
安心しろ、貴様もすぐに臥竜斎のもとへ送ってやる。
そしてその機体が俺の物となるのだ。行くぞ!!」


ステージ1のボス戦は兄である鉄(くろがね)との戦い。

鉄「くそ!よくもやってくれたな。ここはひとまず引き揚げてやる。
だが忘れるな。アレスタは必ず手に入れてやるからな。」
影狼「!まてっ!!…なぜだ?なぜ畜生道へ走る、兄者‥‥」

 


柴田「アレスタ、聞こえるか?柴田勝家じゃ。頼むぞ。
なんとしても今川の陣を撹乱してくれ!!」

 




今川「ほーっほっほっ!なにやら虫ケラが飛込んできおったわ。
この義元が武者王の刀のサビとなるがよい。」


ステージ2は今川義元の操る巨大ロボットとの戦い。

今川「ひぃぃぃぃ、この武者王が、たかが電忍ごときにぃぃ。
ぎゃあああああ!!!」
影狼「勝家殿、作戦終了。われ今川義元を撃滅せり。
これより次の作戦域に移動する。」

 




上杉「フン、貴様が織田のネズミか?
ワシはこの金鉱を守る上杉謙信じゃ。さぁ、かかってまいれ!」


上杉謙信は両腕が多関節で動き回るロボットで襲ってくる。


両腕を破壊してもしつこく襲ってくるぜ・・。

上杉「うがぁぁぁ。アスタロス様、我にご加護を…」
影狼「あすたろす?たしか謙信は毘沙門天を信仰していたはず…。
どういうことだ?」

 




影狼「鉄!!」
鉄「ほぉ、このオレを呼び捨てにするとは、貴様も随分成長したようだな。
どれ、その成長ぶりを見てやろう。こい!影狼。」


ステージ4は再び鉄との対決。

影狼「鉄!答えろ。なぜお前が上杉の金鉱にいるんだ?」
鉄「ふはははは。影狼、貴様も忍びなら自分の力で調べてみろ。
さらばだ!!この借りはまたいずれ返してやるぞ。」

 


影狼「ここから美濃の国か‥。むっ、なんだ?前方に大型物体の反応が。
‥こんな巨大な物体が存在するのか?」

 


 


信玄「おのれ!!白牙のこわっぱめが!!
5年もかけて建造した信玄が超巨大飛空戦艦をよくも墜としてくれおったな。
このまま生かしては帰さんぞぉ!!」

ステージ5は信玄との戦い。

信玄「ぐぐぐ…、いい気になるなよ。
貴様らごとき虫ケラなどアスタロス様の前では…うわあああああ!!」

 


「おくつろぎのところ申し訳ございません。
下僕、毛利元就より危急の用件があるとの通信が入っております。」


アスタロス「わかった。すぐに参る。通信球の準備をいたせ。」
「かしこまりました。」


毛利「アスタロス様。下僕、毛利でございます。
危急の事態が起こりまして、お指示を仰ぎたく存じます。」
アスタロス「して、いかなる事が起こったのじゃ。」
毛利「はっ。恐れながらご報告申し上げます。
先だってらより展開しておりました織田包囲網が
織田の飼い犬であります白牙忍軍の手のものにより次々と突破されております。
これまでのところ3軍団を失いました。」


アスタロス「白牙忍軍・・。
確かあの一族は根こそぎ葬り去ったはずではなかったのか?」
毛利「そ・・それが・・、アレスタとか申す電忍が生き残っておりまして。
いずれの軍団も全てそやつの手にかかって敗れております。」


アスタロス「それほどの使い手か・・。アレスタとやら・・。
わかった。直ちに新型の鉄工兵をそちらに遣わす。追って沙汰を待てい!」


毛利「ははっ!」


アスタロス「信長め・・。この地上界までも、破滅に導こうというのか!」

 


影狼「本州が封鎖されているとなると、やはりこの四国を抜ける以外ないか。」

 




長宗我部「待っていたぞアレスタ。アスタロス様の命により、貴様を討つ。
覚悟せいっ!!」


ステージ6の長宗我部戦。
この位置で動かずに撃ち続けていると勝てる最弱兵器w

影狼「長宗我部殿、アスタロスとは一体何者なのか教えてくれ。」
長宗我部「うう‥‥わしは操られていたのだ…
油断するなアレスタ、あれは手強い‥、うおおおお!」

 


鉄「なぜだ・・。なぜこの俺が影狼ごときに後れを取る!
俺は奴より劣るというのか・・。
いや、そんな事があるはずがない!」


鉄「アレスタだ。俺は影狼に敗れたのではない。
アレスタに負けたのだ!
強力な電忍さえあれば、俺が奴ごときに負けるはずが無い。
フフフフフフ、この機体なら勝てる!」


鉄「見るがいい影狼!この俺の羅刹となったこの姿を!」




影狼「阿蘇か…。ここには確か同盟軍の巨大プラントが存在したな。」

 


島津「来たか、織田の忍びよ。ワシはこのプラントを預かる島津貴久じゃ。
ここを通りたくば、見事ワシの牙門王を打ち破ってみせい!!」


ステージ7の島津貴久戦。
クラシカルなデザインのロボット。

 


冴刃「ひどい・・。」


冴刃「白牙忍軍・・アレスタ。許さない!」


冴刃「アレスタ・・、必ずお前を探し出す。」


冴刃「そして・・斬る!」






冴刃「ようやく追いついたわ。伊賀一族の仇!!」
影狼「待てっ!オレには何のことだかわからん!!」
冴刃「そらぞらしい‥‥。その電忍こそが何よりの証拠よっ!!覚悟っ!!」


ステージ8は伊賀忍軍の冴刃との対決。
冴刃を倒すと鉄が登場。

鉄「くくくくっ、影狼、貴様を仕留めたと思ったが、伊賀の女狐に命中するとはな。」
影狼「まさかっ、貴様が伊賀一族を」
鉄「そうさ、アレスタを越える電忍を造るために、
伊賀の連中相手に性能テストをさせてもらった。」

冴刃「じゃ、じゃあ、お前が本当の仇っ!」
影狼「許せん!鉄っ!!」
鉄「ははははっ、そういきり立つな義弟よ。ここで決着をつけてやっても良いが、
コレもまだ完全に仕上がったわけではないからな…。
まぁ、その時までその生命は預けておいてやろう。さらばっ!!」
冴刃「ごめんなさい…」
影狼「何を言う。謝るのはオレの方だ。あんな男でも、義兄は義兄‥‥すまない‥‥」
冴刃「影狼…‥あなた、毛利の城へ行くのでしょう?
私も連れていって、必ず力になるわ!!」

影狼「だめだ!!宮島城は危険過ぎる。伊賀の仇はオレが討つ。」
冴刃「影狼!!」

 


影狼「これが最後の闘いになればいいが…。頼むぞアレスタ!」

 


ステージ9は城の城門の防衛網との戦いで、
ロボットとのボス戦は無し。

 




毛利「フォッフォッフォッ、影狼とやら、なかなかやりおるのお。」
影狼「貴様が同盟軍の盟主か?」
毛利「いかにも、この毛利元就が同盟軍を束ねておる。」
影狼「なぜだ?なぜたかが1国の大名をよってたかって潰すような真似をする!!
毛利「フン、全てはアスタロス様の御心に従ったまでの事。
下賤な忍びには到底理解できまいて。
さあ、戯れ言は終いじゃ。おのれはここで死ぬが良い!」


ステージ10の毛利元就戦。

毛利「ぐおおっ、おのれえええ、まだ勝負がついたわけではないぞぉ。
アスタロス様、我にお力を!!」
影狼「なんだっ!!何もない空間から巨大な鉄甲兵が!」
影狼「くそっ、実体化されてたまるかぁ!!」


毛利「口惜しやぁぁ、アスタロス様、無念でござりますぅ!うおああああ。」

冴刃「影狼!アスタロスは私達のいる世界とは別の世界に住んでいるのよ!
目の前にある空間の歪みこそがアスタロスの住む世界への入口!」
影狼「そうか、アスタロスはこの歪みの中に潜んでいるわけだな!
よし、アレスタよ。最後までオレと闘ってくれるな?いくぞっ!!」

 


影狼「うおおっ、なんだこの空間は?気分が悪くなりそうだ。」


鉄「ここから先へは行かせんぞ影狼!!」
影狼「鉄っ!きさまぁぁぁぁぁ!!」
鉄「くくくくくく、勝負をつけようぜ、義弟よ!!」


ステージ11は鉄との戦いのみ。

鉄「‥‥強くなったな、影狼‥‥
オレの負けだ。完敗さ。」
影狼「…………」
鉄「影狼、アスタロスのところへ行くんだろう。
いいか、彼女に会ったらその話をよく聞くんだ。
忍の身にはつらい決断をせまられるが、それがお前の宿命だ。
‥‥あばよ、影狼。俺は一足先にあの世へいかせてもらうぜ‥‥」
影狼「くろがねーっ!‥‥‥兄さん」

 


ステージ12は特にボスは登場せず、この城まで到達したらクリア。

 


アスタロス「そなたが影狼どのか?あの鉄をも退けるとは素晴らしい腕前じゃな。
私はこの地獄界を治める、大公アスタロスという………」
影狼「貴様か、毛利殿をはじめとする六大名を陰で操り、
我が主君、信長公を亡き者にせんと企む輩は?
信長公にかわり、このオレが貴様を討つ!」
アスタロス「待て、そなたはあまりにも真実を知らなすぎる、私が‥‥」
影狼「だまれ!!その手はくわんぞ。人の心を惑わす悪魔め!」


ステージ13はアスタロス戦のみ。

 


アスタロス「うっ・・うっうっ・・お・・愚か者め。
お前にはまだ真の敵が見えないのか。
お前たちが主人と仰ぐ織田信長こそ、世界を破滅へと導く狂気の魔神が転生した姿。」


アスタロス「はぁはぁ・・比叡山やヤツの所業を見よ。
あれがまともな人間のやる事か。」


アスタロス「目を覚ませ。地上の世界を救う事が出来るのは、
もはやお前しかおらんのじゃ。影狼・・信長を・・討て!」


アスタロス「もはや、この城はもう持たぬ。早く脱出するが良い。」


『信長を・・討て!』


信長「ぬぅ・・あ・・あ・・あと一歩で天下を・・
いや全世界を我が手中に出来たものを。
是非も無しよのう。」


影狼「信長公・・」


プロデューサー
仁井谷 正充

企画
ケロル

プログラマー
TAKIN
山下 孝一
じぇみに 広野

キャラクターデザイン
龍王院 弘
大西 伸一
高島“グレート”俊介
ケロル

メカニックデザイン
龍王院 弘
小玉“俺に惚れろ”浩樹

絵コンテ
森田 時雨
ゾッド星島
ケロル

グラフィック
小玉“俺に惚れろ”浩樹
大西 伸一
龍王院 弘
森田 時雨
弓 弦之助

効果音
長尾 英之助

サンプリング
今末PON

協力
秋山 泰俊
龍鳳
毘沙門天 和鳴
果物茶

声の主演
緑川 光
久川 綾
神谷 明
寺瀬 めぐみ
岸野 幸正
森山周一郎

協力
青二プロ
吉江企画

Compact Disc Audio
All songs produced and arranged by
Katsumi Tanaka

Original song writing are
Katsumi Tanaka
Satoshi Shimazaki

An original sound recording made by
LMS Recordings

All songs published by
LMS MUSIC inc.

Full digitally process mastered at
Hit Factory Japan

Multi Audio at Visual Sequence
Produced and editing engineered by
Katsumi Tanaka

All CD Recording Processed
VIRTUAL STEREO TREATED

マニュアルスタッフ
河野上 和廣
内海 庸一
池田 克彦
ゾッド星島
龍王院 弘

スーパーバイザー
じぇみに 広野

監督
ケロル

制作
コンパイル

 

 

最後、信長との対決で終わるのかなと思ったら、
信長勝手に死んでたな。
打ち切りアニメみたいな結末だ(^_^;

まず、戦国時代に銃と一緒にロボットが日本に伝来したという設定はかなり好き。
そんなわけないオーバーテクノロジーではあるが、
だからこそ実名武将達がロボットを操縦して戦いを挑んでくる
魅力的な光景が実現しているわけだ。
また、メガCDのゲームだけあって、
他のメガドライブシューティングと比較しても
ビジュアルシーンで用意された絵の点数も多く、力が入っている。
一方で肝心のシューティング部分は期待を下回るクオリティだった。
アレスタシリーズが人気になった要因は、
ほとんどの敵の弾が撃ち落とせる設計により
爽快感のある能動的プレイが可能であった事が大きいのだが、
本作はそんな特徴など忘れてしまっているかのように
的確に攻撃を避けていなかければ次々と瞬殺される覚えゲーだ。
あまりに難易度が高すぎてゲームを楽しむ余裕がほとんど無い。
前作「武者アレスタ」は誰もが楽しめる優しい難易度だったが、
まるでそれが反面教師だったかのようにプレイヤーを殺しにかかる。
ステージも特に目玉となる仕掛けも無く、印象が薄い。
「武者アレスタ」が名作だったから期待も大きかっただけに落胆も大きかった。

さて、そんな「電忍アレスタ」だが、続編もメガCD向けに計画されていた。
続編のコンセプトは「和風シューティングの究極形追求」と
「女の子をいっぱい出す」だったらしい。
雑誌では主人公のデザインも公開されていた。