太陽の神殿 アステカ2
発売元:日本ファルコム
発売時期:1986年10月
定価:7800円
機種:PC8801
本作は副題が「アステカII」と名付けられているが、
あらゆる点で前作「アステカ」とは異なるゲームになっている。
本作はアドベンチャーゲームの新らしい形を生み出そうとした
野心的(実験的)なゲームになっていた。
ゲームがスタートすると、
特にこれといった前置きもなく、
トップビューのマップで主人公を移動させる遺跡探索に放り出される。
状況設定をマニュアルから補完すると、
以下のようになる。
太陽の神殿、そして神々との交流をもたらす不思議な太陽の鍵にまつわる
一連のいい伝えを知った主人公は、
そこに古代文明の謎や人類の秘密が隠されていると信じ、
メキシコ、ユカタン半島のチチェン・イツァーにある遺跡へと足を踏み入れた。
本作の主人公はプレイヤー自身なのか?
それとも前作の主人公と同一人物なのかはハッキリとしない。
また、後者だとするならばアニーの存在、翡翠の玉、行方不明のウィルソン博士・・
などまるで触れられていないのは不自然である。
となれば本作は「遺跡探索」というテーマだけを継承した続編
と見るのが正解かも知れない。
本作はジョイスティックに対応している。
この時期でキーボードを使わずに遊べるアドベンチャーゲーム
というだけでも革新的であった。
主人公を移動させ、遺跡のとあるポイントの上に立つと四角い枠が表示される。
ここでボタンを押すとその中に入る事が出来る。
遺跡の中ではこのような画面になる。
そして遺跡の探索はアイコンを指定して行う。
このゲームが発売された1986年当時。
海外のパソコンMacintoshなどでは、OSにもアイコンによるUIが採用されており、
文字を表示せずにスマートに画面をまとめる指向のそれは、
パソコンシステムの未来を感じさせるホットな存在であった。
それをいち早くゲームに採用しようとしたのである。
そして本作、なんとこのアイコンが12種類もある。
アイコンの内容は以下の通り。
見る/調べる
取る/外す
置く/はめる/セットする
使う
動かす
押す
引く
壊す
組み合わせる
洗う
待つ
移動
ゲームをプレイしているとすぐに気づくのだが、
アイコンの絵を見ただけではそれが何を意味するのか解りづらい(^^;
そこでマニュアルで確認する。
なるほど、これは「見る/調べる」か。
アイコンを選択したあとにAボタンを押すと
画面上の何を調べるのか文字で選択肢が出る。
Bボタンを押すと持ち物の中の何を調べるのか選択肢が出る。
一通り調べ尽くしたら、次のコマンドを試す。
えーとこのアイコンは・・とマニュアルで確認する。
・・てな事をやっているうちに気づく。
「アイコンじゃなくて文字の方が便利じゃないか?」(爆)
とまあ、こんな感じで遺跡を探索していく。
遺跡に入ってから出ると、時間が進んでいる。
この時間も謎に関係している箇所がある。
ところでこの遺跡移動シーンだが、やたら広い。
縦15×横15画面もある。
(端に行くと隣のマップに画面が切り替わる)
しかもそのうち探索できる遺跡があるのが6画面。
明らかにプレイヤーを道に迷わせるための意地悪だ。
本作に登場する遺跡は実在するもの。
広大な森の中に点在する遺跡をさ迷う疑似体験と言えば聞こえはいいけど・・。
本作には主人公以外に人間は登場しない。
従って会話シーンがない。
プレイヤーはひたすら主観視点で寡黙に目の前の遺跡の謎を解く。
のちにヒットするジャンル「脱出ゲーム」にも似た
謎解き主体の進化を目指した方向性だ。
謎解きを主体にしたからなのか、
このゲームの難易度には手加減が無い。
そもそも謎解き自体にヒントがほとんど無く、ずっと手探り。
(実際の遺跡研究もそうなんだろうけど・・)
謎解きが難しいだけならまだ良いが、
このゲームは一度起こした行動は取り返しがつかない事が多い。
例えば取ってはいけないものを取ったらもう戻せない。
壊してはいけないものを壊せる。
部屋に閉じ込められたら出られない。
そしてクリアへの道が閉ざされてもゲームオーバーにはならない。
すでに行き詰まっている事すら気づかず、出口の無い迷路をさ迷い続ける。
自らそれに気づいて最初からやり直すしか方法が無い。
これを地獄と言わずして何と言おう。(^_^;
前作はコマンド入力式システムだったが、
今作はコマンド選択式である。
当時「コマンド選択式は総当たりで選択していればクリアできるので遊び応えが無い」
などと揶揄されていた。
このゲームは前述したように間違ったコマンドを選ぶとハマるので、
コマンド総当りではクリアできない。
謎解き主体のゲームとして構成した本作は、
こんな形でコマンド選択式の欠点をフォローしようとしたのではないか?
結果、多くのプレイヤーが挫折という苦渋を味わう事になったわけだが。
今回のプレイでは移動シーンで道に迷って元の場所に戻れず、
その以上のプレイを断念した。(^_^;
なお、本作は1988年8月にファミコン版もリリースされている。
販売は東京書籍で、開発はコンパイル。
探索に同行者がいたり、RPGのような戦闘シーンがあったり、
原作から改変が加えられている。
日本ファルコム作品のファミコン登場は「ファザナドゥ」以来の2本目だが、
全然違うゲームの「ファザナドゥ」よりは原作に近い移植と言える。
アステカシリーズは打ち止めになるが、
本作のマップ移動シーンは、
「ロマンシア」のスクロールシステムをヒントに
画面切り替えではなくスクロールで移動できるように進化させる実験が行われていた。
当初はこれを発展させて「アステカIII」として形にする計画で進んでいた。
ところがこれは会社に開発を認めさせるための方便であり、
これがのちに「イース」となるのである。
DIRECTOR
MASAYUKI KATOH
SCENARIO
TSUNEYUKI MIYAMOTO
GRAPHICS
TAKAHIRO OHURA
TOMOO YAMANE
MAP DESIGN
TSUNEYUKI MIYAMOTO
TAKAHIRO OHURA
TOMOO YAMANE
TITLE GRAPHICS
TOMOO YAMANE
ICON DESIGN
TAKAHIRO OHURA
FONT
TOMOO YAMANE
CHARACTOR
TOMOO YAMANE
TITLE DESIGN
KAZUMI HIRANUMA
MISIC
TAKAHITO ABE
(TEMPLO DEL SOL)
(CENOTE)
(EL CASTILLO)
(MUNDO PERDIDO)
(LA MOCHE TRISTE)
SOUND EFFECTS
TAKAO OCHIAI
ART DIRECTOR
KOU YOKOYAMA
PACKAGE PHOTO
STUDIO DELUX
MAIN PROGRAM
MASAYA HASHIMOTO
PLOT PROGRAM
TSUNEYUKI MIYAMOTO
SPECIAL THANKS TO
DR'KEY
&
TADANOBU INOUE
KAZUHIKO TSUZUKI
HIROSHI NAKAJIMA
KOICHI HATAKEYAMA
TOSHIO TACHIKAWA
TETSUYA IGARASHI
HARUMI IGARASHI
NORIYOSHI AKIBA
YOSHIHIKO KURATA
TOMOYOSHI MIYAZAKI
TOUKOUEN
<余談1>
本作で泉の底のアイテムを取ろうとすると、金の台座を泉の中へ落としてしまう。
「太陽の神殿」ではこうなるとハマりなのだが、
「イース」に登場する泉を調べると金の台座を回収してお金に替える事が出来る。
同じ作者が作った2作品間のちょっとニヤッとするお遊び的仕掛けだ。
<余談2>
本作にはとある方法で幼女の隠しグラフィックが表示される。
この幼女のモデルとなったのは
本作のメインプログラマー橋本さんの(当時)生まれたばかりの娘さん。
しかもこのグラフィックは、Hボタンを押すと脱衣する。
隠しとはいえ正気じゃないと思う(爆)