ルパン三世 カリオストロの城
(東宝)
1987年/MSX2/アクション/6800円
宮崎駿が監督した傑作アニメ「ルパン三世 カリオストロの城」。
本作は映画の内容をもとにアクションゲーム化したMSX2向けタイトルである。
映画は1979年に公開され、興行的には失敗したと言われているが、
その後の宮崎駿監督の活躍と、口コミでの評価によって
「ルパン三世 カリオストロの城」は神格化されていった。
だからこそルパン三世のゲーム化という題材のときに
8年前に公開された映画が選ばれたんだと思う。
だって状況が違ってれば別に同じ東宝映画の
「ルパン三世 ルパンVS複製人間」が題材になったって良いわけだから。
起動すると大きな画面でクラリスが映し出される。
こんなビジュアルシーンはゲーム中には皆無なのだがw、
この一枚が表示されるだけで
「うむ、クラリスを救出するわけね!」と気分も高まる。
ゲームはこんな感じのサイドビューで、ルパンを操作して進める。
ルパンのドット絵はなかなかバランスの良いデフォルメ具合だと思う。
ステージは何となく「悪魔城ドラキュラ」に似た雰囲気だ。
左右移動、しゃがみ、ジャンプ、攻撃というのが基本構成。
攻撃ボタンを押すと白い棒みたいなのを振る。
映画では時計塔のシーンでルパンは鉄パイプでカリオストロ伯爵と対峙する。
これはおそらく、その鉄パイプをモチーフとしているのだろう。
鉄パイプはしばらく使っていると折れて短くなってしまう。
しゃがみながら攻撃ボタンを押すとワルサーP38で射撃する。
射撃は持ってる弾数分しか撃てないので注意。
壁にかかっている山羊の飾りを鉄パイプで破壊すると、
アイテムが出現する。
最もよく出るのがカップ麺。
カップ麺を取るとCUPメーターが上がる。
「緑のたぬき」は少量、「赤いきつね」は多めに上がる。
やかんを取るとそのとき貯まったCUP値を消費して体力が回復する。
(お湯が無いとカップ麺が食べれないって事ね)
アイテムには他に折れた鉄パイプを回復するもの、
一定時間無敵になる銭形のコート、
しばらく攻撃不可になる手錠、
射撃する弾が増えるもの、
少しだけ敵の動きを止める懐中時計、
とある場所で使えるワイヤー・・といったものがある。
ときどき出てくる不二子ちゃん。
不二子ちゃんに触れると貯めたCUP値を奪われてしまう。
だがお金を30以上持っていると、引き換えにアイテムをくれる。
まさに「時には味方、時には敵、恋人だったこともあったかな?」
という設定通りであるw
階段は斜め方向に移動ボタンを入れると利用できる。
この操作がなかなか難しく、
階段手前でなかなか昇降が上手くいかずにダメージを受ける事も多い。
敵は階段を利用できないので、段差の違うところで行き過ぎるのを待つ事も可能。
このゲームの目的は敵を倒す事ではない。
ステージのどこかにある指輪を2つ探し出すこと。
なので回避できる敵はなるべく回避して進む方が良い。
ステージは画面切り替え方式で構成されており、
切り替えると敵の位置もリセットされるので、
追いかけられたら一度隣の画面へ切り替えてから戻るのが良い。
指輪を見つけたら出口へ。
この画像のようにワイヤーを使わないと上がれない場所もある。
ワイヤーを入手したら上を押しながら攻撃ボタンで使用可能。
大きな山羊の飾りへ指輪を使う。
出口が開いて次のステージへ。
ステージクリアごとに次元がパスワードを教えてくれる。
(次元の出番はこれだけw)
これをメモしておけば、いつでもステージクリア状態からプレイ可能。
▲パスワード使用時に表示されるオマケグラフィック。
ステージ2は城内へ。
胸像を叩くと首が正面を向く。
(映画でも同じギミックあり)
全ての首を正面に向かせると地下へのルートが切り開かれる。
ステージ3は地下水路。
水の流れに巻き込まれると平泳ぎで抗うルパンが愛おしいw
石川五エ門と遭遇!
なぜか五エ門が斬鉄剣をくれる。
なんだかフランクな性格になったなw
見た目は変わらないのだが、鉄パイプが折れなくなった気がする。
たぶん斬鉄剣に持ち替えたのだろう。
ステージ4は・・・
まるで造幣局ではないか?
見てくれー!世界中の国のニセ札だー!
クラリスを探してとんでもないところに来てしまった、どうしよう?
ルパンが潜入しているのに、ニセ札作りの作業に没頭するジョドー。
勤勉な男だw
(※ジョドーは映画に登場するカリオストロ伯爵の執事だ)
ステージ5は礼拝堂。
十字架の上の隠し部屋は見つけづらかった。
ステージ6は時計塔へ通じる水門の上。
この緑の「カゲ」は出現するなり凄い速さで突進してくる。
かなり手前で斬鉄剣を振らないと間に合わない。
しかもこの水門がやたら長い。
カゲの攻撃に削られ続けるとゴールに到着する前に力尽きる。
なるべくカゲは斬り倒して進みたい。
(ジャンプで回避して進む方が難しい)
最終ステージの時計塔。
どうみてもモンスターな茶色のカゲが強い。
画面を跳ね回って素早い上に弾まで撃ってくる。
ここはなるべく削られないように
回避ルートを見つけ出してさっさと進もう。
いよいよカリオストロ伯爵と遭遇。
弾を吐き出しながら近づいてくる。
こちらも今までほとんど使っていないので十分に弾数のあるワルサーP38で応戦。
それにしても伯爵は原作とカラーリングが微妙に違うので、
本当にパチモノのドラキュラ伯爵に見える(^_^;
銃撃を続けていると、伯爵は接近し過ぎて足場から落ちていく。
え?終わり?
ウソだろ?
先へ進むと時計盤へ出る。
クラリスだ!
クラリスから指輪を受け取り山羊へとハメる。
ここに来てなぜかフランス語で流れるメッセージ。
どゆこと?
あ、そうか。カリオストロ公国の公用語はフランス語だもんね。
設定に忠実ってわけね・・。
だったら五エ門のメッセージは日本語にしろよ!(怒)
そしてカリオストロ公国の宝が明らかになる。
お~れのポケットには大き過ぎらぁ。
スタッフロールは無し。
せめて最後ぐらい救出したクラリスのアップで終わって欲しかったぜ~。
「ありがとう、ルパン」の一言でいいからさ。
バトル主体ではなく、潜入と探索をメインにした構成はルパンらしくて良かった。
正解ルートが見つからずに煮詰まる事はあっても、
アクション面での理不尽なバランスにはなっておらず、
上手く「カリオストロの城」のエッセンスをゲームに落とし込んでいると思う。
大野雄二さんに音源使用料を払うほどの予算が無かったのか、
BGMは全てオリジナルである。
映画と同じ曲を使えたらもっと盛り上がったのにね。
本作はMSX2でしか楽しめないルパンゲームでもあるし、
ルパンファンならぜひ一度はプレイして欲しい一本である。
本作を開発したのはファミコン版のイースシリーズ移植や、
ファミコンの「燃える!お兄さん」などを開発した
アドバンスコミュニケーションという会社。
同時期にファミコンで同じくサイドビューアクションの
「ルパン三世 パンドラの遺産」がナムコから発売されているが、
この2本に関連性はない。
また、パソコン向け(P88、X1など)に
「ルパン三世 カリオストロの城」という同名ゲームが東宝から登場しているが、
そちらはダンジョンRPGであり、やはり別物のゲームである。