88ゲーム回想録(08)「信長の野望/信長の野望 全国版」

俺様はそれまでSLGというものが得意では無かった。
それまでのSLGというのはいわゆるウォーゲームと言われるものが多かった。
大戦略」が有名だが、戦場に見立てたマス目のついたマップで
兵器などを移動させて相手に勝利するものだ。
これらを上手くプレイするには将棋のようなパズル頭が必要で、
それを楽しむには相当な習熟を要した。
ところがそれらとはまるで違うプレイ感のSLGが登場した。
それが「信長の野望 全国版」だった。
俺様は夢中で何度も何度も全国統一を繰り返した。
あの時期、俺様の睡眠時間は極端に少なかったように思うぜ。(^^;

今回はそんな「信長の野望 全国版」について語る前に、
その元となったタイトル「信長の野望」をプレイして、
そこからどのように化けたのかをお伝えしようと思う。

 

f:id:g16:20211019084606p:plain

信長の野望
発売元:光栄
発売時期:1983年5月
定価:6800円
機種:PC8801

 

f:id:g16:20211019084559p:plain

信長の野望」は日本の戦国時代を題材にしたゲームで、
プレイヤーは織田信長となり関東・近畿の統一を目指す。
まず最初に信長のパラメータを決定する。(スペースキーで数字を止める)

f:id:g16:20211019084910p:plain

数値は高い方が良いので納得行くまでやり直そう。

 

f:id:g16:20211019084929p:plain

本作のメインとなるのは戦争シーンではない。
国造り、いわゆる政策がメインとなる。
これが俺様には斬新だった。
戦争に勝利するためにはその地盤となる国を発展させる必要がある。
国力が上がれば米や金の定期収入が増える。
国が豊かになれば兵力も増やす事ができるので他国へ攻める事も出来るし、
他国からの侵略を防ぐ事もできるというわけだ。
政策で使えるコマンドは以下の通り。

01.兵士の移動
02.戦争
03.年貢率改正
04.金、米の移動
05.治水工事
06.不戦同盟
07.開梱
08.兵を雇う
09.堺の商人
10.忍者を雇う
11.兵士訓練
12.各国の様子
13.町を作る
14.金、米を与える
15.何もしない
16.中断

「開墾」を上げると秋に米が多く穫れる。
「町を作る」で入金額が上がる。
基本はこれを上げながら台風に備えて治水を上げたり、
民の負担を軽減するために年貢率を下げたり褒美を与えたりする。
米の相場が高いときは余分な米を金に変えるのも有効だ。

政策のバランスが悪いと兵糧が尽きたりして行き詰まる。
すると隣国の格好の標的になってしまう。
案の定、三河徳川家康がせめてきた!

f:id:g16:20211019090430p:plain

戦場は六角形のいわゆるHEXと呼ばれるマス目で表現されている。
出撃させる兵力が5つの部隊に分割されて配置される。
(攻められた側は全兵力が出撃する)
相手を全滅させる必要は無く、本隊(第1部隊)の兵力を0にすると勝利。

f:id:g16:20211019090518p:plain

何とか撃退したが、
頭に来たので徳川家が戦力を減らしている今のうちに三河に攻め込んだ。
そしたら見事に返り討ちにあい・・。

f:id:g16:20211019090538p:plain

 

さて、今のプレイを踏まえて続いて全国版をプレイだ。

 

f:id:g16:20211019090555p:plain

信長の野望・全国版」
発売元:光栄
発売時期:1986年12月
定価:9800円
機種:PC8801

 

f:id:g16:20211019090637p:plain

前作の発売から約3年半。
前作ですでに基礎は出来上がっていた本作は、
十分な検討期間を経て、
完成度の高い強化版として生まれ変わるには条件が揃っていた。

 

起動するとお馴染みのBGMがプレイヤーを出迎える。
時期的にはゲームにBGMがあるのは当たり前になっていたが、
無音だった前作に比べれば、BGM付きでのプレイは高揚感が段違いだ。

最初に「17ヶ国」か「50ヶ国」のどちらでプレイするか選べる。
前作では関東・近畿周辺が舞台だったが、「全国版」の名の通り、
本作では北海道から鹿児島までの日本全国へと舞台が広がった。
リアルな歴史で言えば全ての戦国大名が全国統一を狙っていたわけではない。
自国がより平和であればイイと思っていた大名も多いだろう。
だが「日本全国を統一できる」というのはわかりやすくキャッチーになったのである。

そしてもう一つ。
前作は織田信長の天下統一を追体験するゲームだったが、
本作では50ヶ国全ての戦国大名の中から
プレイヤーの担当する大名を選べるようになった!

f:id:g16:20211019091439p:plain

しかもそれら戦国大名達には個々に顔グラフィックが設定されている!
これによって「信長の野望」は
「戦国時代のIFを実現できる歴史好き夢の実現ソフト」
へと変わった。
もし武田信玄が全国制覇を成し遂げたら?とか、
九州の島津家が関東まで進出してきたら?とか。
全国の大名が登場するから、
蝦夷国の蠣崎家などの(一般的には知られていない)マニアックな大名を
自分の手で歴史の主役に祭り上げる・・といった遊びも実現できた。

大名を選択できるというのは、そのまま攻略難易のバリエーションにもなっていた。
例えば織田家や徳川家などは強い大名に囲まれた土地であり、
最初から油断できない立地だ。
九州や東北といった地方の方が警戒しなければならない隣国が少ない分、
攻略しやすい。
また、大名の年齢も重要だ。
例えば陸中盛岡の南部家は62歳からスタート。
讃岐の十河家などは6歳からスタートする。
このゲームは春夏秋冬の4ターンで1年が経過する。
そして寿命がくると死んでしまってゲームオーバーだ。
年齢が高いほど天下統一までに使えるターン数が少ないというわけなのである。

 

f:id:g16:20211019091759p:plain

本作で政策で使えるコマンドは以下の通り。

01.移動
02.戦争
03.年貢改訂
04.金米輸送
05.治水工事
06.不戦同盟
07.開墾
08.婚姻
09.堺の商人
10.雇用
11.兵士訓練
12.様子を見る
13.町を造る
14.施す
15.寝返り
16.部隊編成
17.休養
18.地図
19.属領命令
20.その他
21.PASS

基本的なセオリーは変わらない。
「開墾」と「町を造る」で収入源を強化していく。
そして隣国に攻め込めるくらいまで兵力を蓄えたら戦争で領地を増やしていく。
それにしても「金」がなかなか貯まらない。
戦争をするとき、兵力1に対して金1かかるので、
例え兵力が高くても金がなければ戦争を仕掛けられない。

 

f:id:g16:20211019091845p:plain

戦争中のコマンドは

01.移動
02.攻撃
03.寝返り
04.降参
05.何もしない
06.大名の様子

戦争中に相手の兵士を寝返らせる事が出来るようになったのは大きいな。
前作同様に戦力が5部隊に分けられて6角形のHEX上で進軍する。
基本的なゲーム性は同じだが、グラフィックが格段に良くなっているので、
戦国時代のいくさがよりイメージしやすくなっているね。

 

f:id:g16:20211019092023p:plain

斎藤家に攻めたものの、信長本人が討ち取られて天下統一の夢は潰えた・・。


本作を盛り上げるもう一つの大きな要素はミニアニメーション演出。
何か行動をするたびに
小さなスペースでそれをイメージするアニメーションが表示される。

f:id:g16:20211019092048p:plain f:id:g16:20211019092051p:plain 

f:id:g16:20211019092055p:plain f:id:g16:20211019092059p:plain 

f:id:g16:20211019092103p:plain f:id:g16:20211019092107p:plain

f:id:g16:20211019092113p:plain f:id:g16:20211019092116p:plain

これが、ただ文字で結果が知らされるだけの前作とは雲泥の差。
ちょっとしたアニメーションで
イマジネーションがめちゃめちゃ掻き立てられたものさ。

選択した国によってメッセージの内容が変わる「方言モード」の実装も、
遊び心の余裕が感じられる良い施策だったと思う。

 


日本全国を統一する戦国時代がゲームとしてパッケージされた本作は、
SLG好き、歴史好き、パソコンゲーム好きを唸らせ、
以後、光栄ブランドを形成していったのであった。