超絶倫人ベラボーマン
(ナムコ)
1990年7月13日/アクション/6800円
「超絶倫人ベラボーマン」は1988年5月に
ナムコからアーケード向けにリリースされたアクションゲームで、
俺様は本作がゲーム機で遊べる事は無いだろうと思っていた。
本作の主人公はベラボーマンと呼ばれる変身ヒーローであり、
伸縮するパンチやキックが武器。
そしてその長さはベラボースイッチと呼ばれる
押す強さでそれを調整できる特殊なボタンで操作するゲームだった。
PCエンジンはもちろんの頃、
ボタンの押す力を判定する機能は当時のゲーム機にはなく、
追加の周辺機器でも用意しない限りは実現できない。
それはとてもハードルが高い事のように思えた。
似たボタンを採用したゲームの「ストリートファイター」は、
ボタンを押す長さに置き換えてPCエンジンに移植されているが、
「ストリートファイター」と違って本作は
ボタンで調整する強弱がメインの要素であったがゆえに、
それを別のものに置き換えて魅力を維持するのは難しいだろうと思っていた。
なので本作が発表されたときは
期待と不安が入り交じる感情で発売を待ちわびたってわけだ。
アーケード版の「超絶倫人ベラボーマン」は、
「源平討魔伝」でBGM制作とシナリオを担当していた中潟憲雄さんが立案し、
「源平討魔伝」の一部スタッフに声をかけて開発したと言われている。
(そのため作風が「源平討魔伝」に似ている点が見受けられる)
PCエンジンに移植したのは「ナウプロダクション」という開発会社だ。
サイドビューのアクションゲーム。
大きめのキャラクターであるベラボーマンを操作して進める。
方向ボタン左右で移動。
方向ボタンの下でしゃがみ、しゃがみながら左右移動もできる。
Iボタンでジャンプ。長く押すと高くジャンプできる。
IIボタンで腕が伸びるパンチ攻撃。
しゃがみながらだと首が伸びるヘッド攻撃。
方向ボタンの上を押しながらだと斜め上へ足が伸びるキック攻撃。
ジャンプしながらだと横方向へ足が伸びるキック攻撃となる。
ジャンプの頂点でキック攻撃をするとジャンプの高度が上がる特殊挙動があり、
これを使わないと進めない箇所もある。
アーケード版だとベラボースイッチにより、
ボタンの押す強弱により伸びる手足の長さが変わるのだが、
本作ではボタンの押す長さに変わっている。
(「ストリートファイター」の移植版「ファイティング・ストリート」と同じ)
体力制でオニギリなどのアイテムを取ると回復できる。
体力が尽きるとゲームオーバー。
コンティニューするとステージの最初から再開となる。
(死んだ瞬間にRUNボタンを連打するとその場で復活する裏技ありw)
コンティニューできる数は有限だが、
ステージ中に1UPアイテムを取るとコンティニュー数が増える。
アーケードでも特徴的だったゲームスタート時の「ベラボー参上!」や、
攻撃時の「ベラボー!ベラボー!」という掛け声などのボイスも
ゲームのテンションを上げてくれる。
さて、ここからはステージを進めながら追っていこう。
ステージ1
前口上:「わしに はむかうやつは、だれじゃ?」
ステージ開始前に黒幕の爆田博士の前口上が挟まる。
こちらは主人公のベラボーマンに変身する力を与えたα遊星人。
ときおり登場してアドバイスをしてくる。
攻撃すると怒られるw
ステージ1はチュートリアル的な構成。
ステージ2
前口上:「ロボットぐんだん、さくせんだい1ごう、はつどうじゃ!」
ステージ中の電話ボックスを殴るとダジャレを言ってくる。
このあたりは源平討魔伝のダジャレステージを彷彿とさせる。
ステージは土管などが積み上がって上下に起伏のあるものが多い。
キャラのデカいゲームなので上下の視認性が悪く、
先が見えないままジャンプや落下をしなければならないのが難。
最初のボスが達磨落としのような挙動の「ボスウンババ」。
ボスを倒したあとに出てくる福引男。
ステージ途中やクリア後におにぎりなどのアイテムを抽選でくれる奴。
3回殴ると以後、何もくれなくなる・・。
絶対殴るな!
ステージ3
前口上:「ツイン スキュレーン、やつを うみのもくずにするのだ!」
ベラボーマンが水中形態に変形して進むシューティングステージ。
まっすぐ射出するショットと、弧を描いて落ちるショットを使い分けられる。
残念ながらタメ押ししても変化したショットは出ない。
2つの首を持つボス「ツイン・スキュレーン」。
首を撃ち落とせば倒せる。
ステージ4
前口上:「ヤミにうごめくものよ、しのびのじゅつで やつをけせ!」
ヘビメタ忍者の「ベンジャミン大久保彦左衛門」と対決。
不思議な踊りをしながら手裏剣を投げてくる。
ステージ5
前口上:「どうやらおまえを あまくみていたようじゃ もう、てかげんせーん!」
ここからベラボーをシビレさせる電気系の敵が出てくる。
ボスに「ブラックベラボー」登場。
ベラボーと同じ動きをする。
ステージ6
前口上:「わしのみぎうでゾルタンよ!まかせたぞい!」
ボスの「ゾルタン」は盾で攻撃をガードしてくるケンタウロスみたいなやつ。
倒すと「これで勝ったと思うなよ」などと源平討魔伝の弁慶と同じセリフで退散する。
ステージ7
前口上:「バサロえいほう きんしじゃ!」
ボスは「アトランチス大王」。
大王のまわりにコブン(半魚人)が回っており、それらを全て倒すと大王は退散する。
ステージ8
前口上:「おまえの わるぢえを みせーい ピストルだいみょう!」
忍者屋敷で待ち受けるボスは頭部にピストルを装備した「ピストル大名」。
途中、命乞いをしてくるが、手のひら返して攻撃してくる卑怯なヤツ。
開発者はよっぽどこのキャラを気に入ったのか、
彼を主人公にした「ピストル大名の大冒険」というゲームが作られる。
ただし世間的にこのキャラが人気があったという話は聞いた事がない。(^^;
ステージ9
前口上:「わしのヘアスタイルも たろうくんの デザインなのじゃ!」
ベラボーマンを挟んでシビレさせるザコがウザいステージ。
ボス「トリガーG7」。長い首を落とすとヒヨコみたいなボディが襲ってくる。
ステージ10
前口上:「おまえに このこを たおせるかぁ?たおせまぁーい?」
ボスのサイボーグ忍者「わや姫」。
ピストル大名のゲーム作るぐらいだったら、
わや姫を主人公にしたギャルゲー作った方がファンがついた気がする。
ステージ11
前口上:「くれてやるぅ くれてやるわい!」
アイテムをたくさん取れるボーナスステージ。
ステージ12
前口上:「いまこそみせよ!ロボットぐんだんの そこぢからを!」
ボスの「アタックボンバーV9」。
攻撃はロケットパンチ。
ステージ13
前口上:「さんしょはこつぶでもピリリとからいぞい!」
地蔵の上に乗ると「おもたい」と言われる。
ボスは手裏剣に変身して襲ってくる「響笑翔衝斉」。
ステージ14
前口上:「へたなウニだま かずうちゃ あたるじゃ!」
ボスが水中形態に変形したブラックベラボー・・
と思いきや、それを倒すと赤いツイン・スキュレーンが襲ってくる。
ステージ15
前口上:「はぁーっ ドスコイ ドスコーイ」
ボスは相撲のようなスタイルの「雷丸」。
張り手で突っ込んでくるときに背後に回って攻撃するとダメージを与えられる。
ステージ16
前口上:「ウンババしんでん、ここでおまえも、かせきになるのだ!」
神殿の最後にはブラックベラボーが待ち受けている。
ステージ17
前口上:「カイテイぐんだんの きりふだの いりょくをみよ!」
アトランチス大王との最終決戦のあとに「海底ウ号」が登場する。
ドズル・ザビみたいな事を言う。
ステージ18
前口上:「きさまの しにばしょが きまったわい!」
2人に分身した「ベンジャミン大久保彦左衛門」を倒すと、
地蔵だらけの場所で「雷丸」との最終決戦。
ステージ19
前口上:「めぐんでやるわい!わしはやさしい じいさんじゃ!」
ラストスパート前のボーナスステージ。
ステージ20
前口上:「めいろのなかで めいろ、めろ、、、」
前口上の通り、ルートが迷路のようになっていて、
正しい道順で進まないと同じところをグルグルまわることになる。
ボスは「わや姫」と「ピストル大名」。
ステージ21
前口上:「ひきかえすなら ここがさいごじゃ!」
雪が舞い落ちる中、ブラックベラボーと対決。
そのあとにゾルタンとの最終決戦があり、
ゾルタンを倒すと福引男から最後の激励を受ける。
ステージ22
前口上:「わがしゅくめいの、ライバル!ベラボーマン、しょうぶじゃ!!!」
「ベンジャミン大久保彦左衛門」を倒すとブラックベラボーの最終決戦。
倒すとブラックベラボーの正体が判明する。
(アーケード版とは異なる正体)
そしていよいよ爆田博士との勝負。
「わしが爆田博士じゃ!今年で131歳、ナイスミドルのロマンスグレーじゃ!
きなさーい。わしのぉ、戦闘力はぁ、せかいいちぃぃぃっ!!」
ダメージを与えると生首だけになって襲ってくる。
ここに来てキャラ節約してるなぁ(^^;
「今回はワシの負けらしいな・・・・・じゃが・・・
ワシはただ・・・寂しかったんじゃ。え!?わかるか!?男やもめのツラさが。
言いたい事はそれだけじゃ・・。
それでは・・・さらばじゃーっ!」
このあとにスタッフクレジットとなるのだが、
スタッフ全員の似顔絵が表示される。
せっかくだから画像でご紹介。
紹介文がテキトーなので、
果たしてこの人達はナムコのオリジナルスタッフなのか?
それともナウプロダクションの人達なのかは不明。
さて、ベラボースイッチ無き移植はどうだったのか結論を言おう。
確かにアーケード版はベラボースイッチありきのゲームだったと思う。
だが本作は“ボタン長押し”という要素により、
敵との間合いを図って落ち着いてボタンを長押しするという遊びに変わり、
その点に違和感は感じなかった。
魅力的でノリの良いコメディタッチの世界観が面白く、
その存在がベラボースイッチ不採用を補って成り立たせた気もする。。
ただ、ステージがベラボースイッチを楽しむ事を前提に構成されているものなので、
アクションゲームとしては大雑把。
また全22ステージという長丁場になるのだが、
ビジュアルは何度も使い回されるので単調なプレイに感じられる。
限られたコンティニュー回数でエンディングまで辿り着くのは
楽しさ通り越して苦痛になってくる。
前述したように世界観設定が本作の魅力であるのだが、
本作の世界観を引き継いだのが「ピストル大名の大冒険」だけというのも首を捻る。
なんで唯一の展開が“ピストル大名”なのか・・。
ベラボーマンだったら「大乱闘スマッシュブラザーズ」に参戦しても
不思議じゃないと思ってるけどね。
なお、2013年にバンダイナムコゲームスの
キャラクター復刻プロジェクト「ShiftyLook」で
スマホ向けベラボーマンのリメイクアクションゲーム
「BRAVOMAN:Binja Bash!」が配信されたが、
1年で配信終了という幻のような存在となっている。