ネオジオは100メガショックの夢を見るか?(23)「エイトマン」

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エイトマン
(SNK)
1991.11.20発売/21800円/アクション
走れ、8マン

 

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1963年~1965年に『週刊少年マガジン』で連載され、
同じ時期にテレビアニメにもなった「8マン」(アニメ題は「エイトマン」)。
本作はそんな「エイトマン」を原作とした
サイドビューの横スクロールアクションゲームである。
エイトマン」というのは俺様が生まれる前にヒットしたヒーローであり、
その後にリメイクもされていなかった。
なので本作の存在を知ったときに
「なんでいまさら『エイトマン』なんだ?」と思った。
本作が発売された1991年の前後。
まず1989~1990年にかけてリム出版から復刻本が出版され、
1992年には宍戸開が主演した実写映画『8マン・すべての寂しい夜のために』が公開、
1993年にはOVAエイトマンAFTER』がリリースされた。
もしかしたらこれらは
エイトマン」をマルチメディア戦略で復活させようという動きであり、
本作もそんなプロジェクトの一環だったのかも知れない。

だが本作がそんな「エイトマン復活」に一役買ったかというと疑問だ。
まず本作の世界観は原作をかなり改変している。
(荒廃世界での戦いを描くデストピアのヒーローのような内容になっている)
また、キャラクターも桑田次郎氏が作画をした原作の絵を使わず、
アメコミ風にリデザイン。

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これがもの凄くカッコよかった。
元の絵が純和風な絵柄だったのでよけいにそう思ったのかも知れない。
敵キャラクターも、いかにもアメコミに登場しそうな造形で嬉しくなってしまう。
おかげで発売日にROMを買ってしまった。
このタイプのゲームに2万円もの大金をつぎ込んだのかと思うと信じられないのだが、
それだけハートを直撃したのだろう。
とは言え、その後の実写映画やOVAがアメコミとして描かれていたわけでもなく、
相乗効果は皆無だったと思われるのである。

 

ゲーム内容は、通常の敵を倒しながら画面右に進んでいくエリアと、
強制高速スクロールで進むエリアの2部構成になっている。
この手のゲームでは“強制高速スクロールステージ”は珍しくないが、
その俊足がトレードマークになっているエイトマンだけに、
設定と仕様がピッタリとマッチしている。
残像を残しながら走っているとき、ちょっと気持ちイイ。
惜しむらくは、ステージ後半になっていくにつれて
ただ固い敵が増えていくだけの構成になってしまっている事。
キャラ数制限もあったのだろうが、
一度遭遇している敵が次々と出てくる後半はツライだけだった。
2人同時プレイ可能で、2人でのみ合体技を使う事が出来る。
2P側のキャラクターは「9マン」というゲームオリジナルキャラで、
原作者からクレームが来たという噂もある。
(原作者からクレーム来てもそのまま発売できちゃう時代も凄いけどw)

 

開発したのは「2020年スーパーベースボール」と同じ「パルス」という謎の会社。
「2020年スーパーベースボール」との発売時期を考えると、
同じ時期に2ラインで開発していた事になり、
それなりに開発力のある会社だったのではないか?