アストロシティミニ収録タイトルレビュー(3)「ダークエッジ」

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ダークエッジ
1993年リリース

 

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1991年に登場した「ストリートファイターII」の大ヒットによって、
格闘ゲームブームに突入する。
そのシステムを模倣した格闘ゲームが各社から登場。
当然そうなってくれば、そこに変化や進化が求められる。
例えば「餓狼伝説」のライン移動などもその一つだ。
そんな中で登場したのが本作の「ダークエッジ」だった。
そのビジュアルは鮮烈だった。

 

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通常格闘ゲームは真横から見たビューで間合いや射程距離を判断する構成だ。
その2Dビューを2枚用意して、行き来できるようにしたのが「餓狼伝説」。
そして本作はキャラクターを奥側や手前側に移動できるようにした事で、
2Dの面を回転させたのである。
キャラクターが奥や手前(Z軸)に移動すると、自分と敵の中心を軸に面が回転する。
そうする事で、2D格闘の様式のまま真横以外のビューを実現させたってわけだ。
事実、このゲームを雑誌やゲーセンで見たときは、
格闘ゲームに新時代が訪れた」と感じた。
だがそのZ軸への移動は実質、
相手の攻撃を避けるぐらいの用途にしか活用されておらず、
それと引き換えに2D格闘システムへの弊害が生まれていた。
それはどんな弊害か?
通常、格闘ゲームというのは、相手のいる方向に対してコマンドが設定されている。
相手と逆方向がガード。
波動拳コマンドならば、相手が右にいれば「下・右下・右」であるが、
左にいたら「下・左下・左」に切り替わる。
高速でビューが変化する本作でそれを制御するのは困難である。
しかも奥と手前に立っているときは、左右関係がよくわからなくなる。

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さらにビューが真横ならば射程距離がわかりやすいが、
斜めに対峙すると攻撃が当たるのか避けられるのかの判断は難しい。

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本作はそれらの問題を解決しないまま、
新規性のあるビジュアルを売りにリリースした、
いわば研究途上のゲームと言えるだろう。

 

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プレイヤーは6人のキャラクターから選択する。
2本勝負でこれら6人と戦っていく。
スペースオペラを思わせるSFチックなキャラクター達で、
人間のみならず、ロボットやクリーチャーなどもいる。

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攻撃ボタンは弱パンチ、強パンチ、弱キック、強キックの4つ。
光弾などの遠距離攻撃はコマンド技として用意されている。
方向ボタンの上下はZ軸に使われている。
なのでジャンプはボタンが用意されている。
また下段攻撃の操作は何も方向ボタンを入れずに攻撃ボタンを押す事で出せる。
これらはセオリーな設計ではないので余計に遊びづらい。

 

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なんとか6人に勝利すると、
スペースハリアー」みたいなボーナスステージが始まる。
これ本編より楽しげ(爆)

 

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続いてボスキャラとして黒いロボットみたいなのが登場。
こいつが強えーの、なんの。
間合いを離して遠くからガンガン光弾を撃ち込んでくる。
6回ぐらい挑戦したがほとんどダメージを与える事が出来なかった。
俺様には無理って事で、これにてプレイ終了。
どうやらこのあとにもう一人最終ボスがいるらしい。

 

ここまで書いたように、本作は様々な問題を抱えたままリリースされたゲームだ。
だが、格闘ゲームの進化の過程を確認するという意味ではとても興味深い一本だろう。

余談ではあるが、Z軸を使った格闘ゲームというものは、
未だにシステム的完成がされていないと俺様は思っている。
「鉄拳」も「ストリートファイター」も、いまだ2D面を基本とした遊びだ。
「ダークエッジ」のビジュアルを見てゲーマーが思い描いた夢が、
いつか実現する日が来るのだろうか?