時代を先取りしたもう一つの流通形態「SOFBOX」

前回“ソフトベンダー武尊”について掘り起こしたので、
ついでと言っては何だが、TAKERUの影でひっそりと始まり、
ひっそりと終わった流通形態もご紹介しよう。
その名は“SOFBOX”と言った。
俺様の周りで積極的に利用している人もいなかったし、
現在その名称でネット検索してもほとんど引っかからない。
それほどマイナーな存在なので、
このテキストをUPしてもまったく反応が無いであろう事は予想できる。
だが、パソコンゲームの歴史で記憶に少しでもある事項は、
せめてテキストででも残しておかないと無かった事になってしまうので、
生き証人の義務として筆を取る事にした。

さて、そんな“SOFBOX”
これは出版社である双葉社がはじめたプロジェクトで、
簡単に言えば出版の流通を使って本屋にパソコンソフトを置いてしまおうというもの。
今もそうかも知れないが、パソコンショップって全国どこでもあるわけじゃない。
でも本屋なら全国各地に店舗がある。
それを利用する事でもっと幅広い顧客がつかめるんじゃないか?という考えである。

ラインナップは4つのシリーズに分けられていた。
「スーパーゲーム」シリーズ・・・昔のゲームを低価格で再販するもの
「ファンタジカ」シリーズ・・・SOFBOX用のオリジナルゲーム
「スーパー・ビジネス」シリーズ・・・ワープロなどのビジネスソフト
「スーパー・ライフ」シリーズ・・・家計簿などのツール系

これらは統一したパッケージで提供された。
俺様の資料室に一本だけ現物があったのでご覧頂こう。

 

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SOFBOX共通のレイアウトに
通常流通版のパッケージ絵が縮小されてプリントされている。
大きさは5インチFDを一回り大きくしたようなタイプ。
中には簡易マニュアルがついている。
正直、それほどセンスの良いものではない。
[簡易版]感が強過ぎるのだ。

結論を言うと、SOFBOXには全然魅力を感じなかった。
その理由は“ソフトベンダー武尊”とかぶる。
買えなくなった古いソフトとはいえ、
中古パソコンショップで探せば見つかるラインナップ。
TAKERUのようにオリジナルソフトに活気があれば興味も出たが、
SOFBOXのオリジナルソフトってちょっと記憶にない。
『キングブリーダー』ってオリジナルソフトだっけ?
また、本屋での販売なので基本定価販売
低価格を売りにしているのに値段が高く思えた。
例えば『カサブランカに愛を』の88版は3200円
『キングブリーダー』88版にいたっては5000円もした。
また、前述したパッケージの簡易さも購入を躊躇させる大きな要因だった。

最初は書店棚の一角を占めていたSOFBOXも、
月をおってそのスペースを減らしていき、
最終的には棚の隅に3~4箱ひっそりと余生を過ごしているのみになった。
おそらく双葉社には大量の返品が舞い戻った事だろうが、
それらは一体どこに流れていったのだろうか?

その後の未来。
本屋やコンビニには当たり前のように
映画のDVDやWindows向け低価格ソフトが陳列されるようになった。
SOFBOXのやろうとした事は早過ぎただけかも知れない。
またSOFBOXの実験的失敗があったからこそ、
今のような流通形態へと成熟したのかも…。
なんてキレイにまとめてみたがいかがだろう。(^^;

最後に確認されているSOFBOXでリリースされたラインナップを
ご紹介して終わりにしよう。

 

■PC88用タイトル■
メルヘンヴェール
ウイバーン
超戦士ザイダー
レリクス
ガイアの紋章
ホテルウォーズ
ザ・キングサーモン
天使たちの午後
抜忍伝説
闘氣王
ディガンの魔石
魔界復活
トップルジップ
ムーンチャイルド
T.D.F(怪獣大戦争
キングブリーダー
家計簿

■PC98用タイトル■
メルヘンヴェール
レリクス
ホテルウォーズ
ザ・キングサーモン
天使たちの午後
抜忍伝説
闘氣王
ディガンの魔石
トップルジップ
ムーンチャイルド
T.D.F(怪獣大戦争
家計簿
獣神ローガス
DIRES
怨霊戦記
ハイパー住所録

■MSX2用タイトル■
メルヘンヴェール
抜忍伝説
魔界復活
T.D.F(怪獣大戦争
中華大仙
魔球殿
ファンタジー
忍者