ドラマレビュー「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」


いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう
2016年/フジテレビ/月曜21時〜/全10回
脚本:坂元裕二
演出:並木道子、石井祐介、高野舞
プロデューサー:村瀬健
主演:有村架純(杉原音役)
杉原音は幼き日に親を失い、
親戚の老夫婦のもと北海道の田舎町で育てられる。
20代になった音は家政婦同然に扱われ、
婚約者まで一方的に決められても拒めないでいた。
一方、曽田練は唯一の家族である祖父が
騙し取られた畑を買い戻すために上京し、
運送会社で働くが、働けど働けど光は見えず、
セレブな恋人(木穂子)に困惑しつつ小遣いを貰う始末。
そんなある日、北海道から帰ってきた友人(晴太)が
盗んできたカバンを調べると中には手紙が入っていた。
それは音へ母親から宛てた手紙であり、
練は持ち主に返すために北海道へとトラックで向かう。
そこで出会った二人。
練との出会いをきっかけに東京への脱出を決意する音。
このときお互いに恋心が芽生えていた。
  
要約すると
「生き方が不器用な田舎者が東京での生活や恋愛で摩耗していく」
「そんな弱者達の純愛だから美しい」
といった感じの内容。
毎回のように“田舎者”であるがゆえに陥る社会の罠が満載。
好きでもない男と結婚させられる村社会、劣悪環境の運送会社、
過剰労働の介護職(経営母体はブラック企業)、
モデルデビューと偽って借金させる悪徳タレント事務所、
バスの中で下着をバラ巻いたヒロインを笑いながらスマホで写真を撮る人々、
上京して食えない若者を騙して劣悪な仕事を斡旋する業者・・などなど。
また、主人公達もたいして弊害が無いのに
自ら進んですれ違う行動を取ろうとする。
(ポイントポイントで主要人物が方言に戻る描き方は作為的だ)
 
あと練が仲良くしている近所のおばあさん(八千草薫演じる静恵さん)。
この人の一軒家がメンバーの集会所として利用されてるんだけど、
修羅場の喧嘩始めたり、拾ってきた犬を飼わせたり、
本人がいないときに家に上がり込んでワイン片手に女子会してたりw
いくら仲良くても度が過ぎて無いか?(親戚でも何でも無いのに・・)
 
全体的に脚本が少女漫画か携帯小説かってぐらいに現実味が無い。
あまりに現実味がなさ過ぎて逆にファンタジーとして毎週楽しみだった(爆)。
(物語途中で5年が経過し、
主人公の練がキャラ変して悪徳業者の構成員になってた時は爆笑した)
とはいえ、地方出身者は気分悪いだろうし、
運送業者や介護業者はイメージ悪いだろう。
(引っ越し作業中に依頼者の宝石盗むような描写もあったな・・)
これ脚本誰だよと思ったら『東京ラブストーリー』の坂元裕二さんか。
平成世代の若者の恋愛を描くのは無理があったか?
それとも意図的に寓話を描いた?
 
いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」というタイトルから、
「最後は終わってしまう恋なんだろうな」と思ったら、
薄い感じで恋愛成就してるし。
しかもこの二人、たいして恋愛描写ないし。(^_^;
 
有村架純高畑充希森川葵といった女優陣は映えてた。
あと手嶌葵の主題歌も良かったよ。
ひどい脚本を何とか月9ドラマに仕立てようとした演出の努力は買える。
本当につまらないドラマだったなら最終話まで見てないしな。