ゲームとシナリオ

「RPGの本質はシナリオである」という言葉を聞く事がある。
なるほど確かにRPGは物語を追うのに適したシステムだ。
物語の主人公としてエピソードを追体験
成長要素が感情移入度を高めて物語への没入をより深めてくれる。
だが俺様はゲームのシナリオに過度の期待は出来ないと考える。
例えば映画と比べてゲームがシナリオを語る上で優れている点はどこか?
それはプレイヤーが物語に関与出来る双方向性にあると思う。
映画を見ていて「いや、そこは右ではなく左へ行くべき」とか、
「もし自分が主人公ならここはYesではなくてNoだろう」とか思っても、
実際には提供される筋書き通りにしか物語は進んでくれない。
だがゲームはそんなプレイヤーの意思を反映できる。
しかし制作上のデメリットは大きい。
分岐が一つあるだけでシナリオ量が2倍に増える。
分岐があればあるほどねずみ講式にその総量は増えていく。
そんなシナリオを用意する事は出来ないので、
実際には分岐したルートもすぐに本流に戻るような作りにならざる得ない。
という事は実質ゲームのシナリオは一本道であり、
表現において優れている映画に劣る結果となる。
かつてサウンドノベルズという試みでそこに挑んだタイトルがあった。
しかし良質なシナリオを分岐を踏まえて仕上げる事は生産性が低い。
またテキスト以外の表現が多く求められる現在、
その手法も限界が来ているように思える。
(実際、エロゲーを除けばサウンドノベルズジャンルは過去のものとなりつつある)
この点、ゲーム構成自体がシンプルだった90年代の方が
やりようがあったように思える。
 
ゲームの双方向性を活かそうと思ったら、
ライターを必要としないシナリオ生成AIの完成を待つしか無いと思っている。