ローカライズ地獄

海外で制作されたゲームが日本で発売されるとき、
日本の市場に似つかわしくない表現がされていた場合、
その表現を変更して発売される事がある。
日本では主に残酷シーンがそれに該当する。
俺様はこれについて意を唱えるわけではない。
それをする事で多くの人の元へ届けるお膳立てが出来るのであれば、
致し方無い処置である。
だがそれには「ゲームの本質を損なわなければ」という前提がつく。
今回、俺様が味わった中で最も酷い表現規制に出会ったので、
警鐘を鳴らす意味でもここに記しておきたい。
ゲームのタイトルは「Until Dawn(アンティル・ドーン) - 惨劇の山荘 -」。
PS4で発売されたホラーゲームである。
登場する男女の若者が雪山で遭遇した惨劇を追体験する内容である。
ホラーだから、当然登場人物達が襲われたり、殺されたりする。
そういったシーンになると、画面が真っ黒になる加工がされている。
プレイヤーはその間、声だけを聞いてシーンを通過する事になる。
まずこの処理の仕方が乱暴だ。
最初はゲームのバグか、もしくはHDMIコードの故障を疑ったもんな。
また、純粋なホラーゲームでそういったシーンを覆い隠してしまう事、
それはどういう事か?
それは冒頭で言った「本質の部分を損なわせる」事に他ならない。
(残酷シーンが無くてもホラーは成り立つが、
それは最初からそれを前提とした設計に限る)
まさにクリープの入っていないコーヒー、
いや、コーヒーの入っていないクリープであるw
それだけならまだ「ローカライズが下手だったな」で終わる。
わざわざこうして取り上げる事も無かったろう。
このゲームでブラックアウトするシーンの中で、
ストーリー上、プレイヤーに伝えなければならないシーンが多く含まれている。
例えばこうだ。

(ブラックアウト)
A「ああ・・」
B「きゃあっ!」
A「うわぁーーっ!」
ブラックアウト中にストーリー上で重要な解明シーンが
ビジュアルで明かされた様子。
プレイヤーは登場人物達の奇声を聞いただけなので
意味不明のまま通過する。


(ブラックアウト)
A「ああ・・」
B「きゃあっ!」
A「うわぁーーっ!」
画面が戻ると一緒にいた登場人物がいつの間にか別行動を取っている。
そのシーンが見えていないからエピソードが飛んだようになる。

また、情報によると、このゲームはプレイヤーの選択によって、
エンディングで生き残る人数が変化するのだが、
全ての人間が生き残るベストエンドを迎えると、
そこで流れる結末シーンがまるまるブラックアウトされているらしい^^;
何その酷い仕打ち。

ここまで酷い改変をしているのに、
CERO Z」(18歳以上を対象とした表現内容が含まれている表示)
なのだから呆れる。

残酷シーンを覆い隠すだけでなく、
ストーリーすら不完全な状態にしてしまった本作、
しかも故障に見える方法で。
俺様は質が低いとか高いとか語る以前に“不良品”だと思っている。
ゲーム自体は良く出来ているだけに残念でならない。
この日本版の存在自体がまさに惨劇である。