RPGとエンカウントのお話

ブレイブリーセカンド』を少し進めると、
敵との遭遇率をプレイヤーが調整出来るメニューが使えるようになる。
−100%から+100%まで設定でき、
−100%にすると敵には一切遭遇しなくなり、
+100%にすると数歩で必ず敵に遭遇するようになる。
これは親切設計の範疇を越えた思い切った判断だと思う。
この機能によって、冒険が便利になるかわりに、
いくつかの遊びがスポイルされる事になる。
大きなところでは2つ。
 
【1】帰り道の余力を残して先に進む駆け引きの喪失
RPGの定番であるこの駆け引き。
ここからもっと先に進むべきか?
これ以上消費したら帰り道で生き残れる余力が無いかも?
もしかしたらもうちょっと進んだら回復できるポイントがあるかも?
ここでの判断を間違えると全滅する緊迫感。
この駆け引きが冒険を端的に体験させていたと思う。
だが遭遇率を調整出来てしまうと、
全滅ギリギリまで先に進み、限界が来たら出現率0にして戻ればいい。
そこに駆け引きは無い。
 
【2】ゲームデザイナーのセンスを楽しむ機会の喪失
ゲームはあらゆる数値のバランスで成り立っている。
遭遇率もその一つ。
ゲームデザイナーのセンスが良ければ、緊張の緩和の絶妙な境地に誘ってくれる。
それがゲームバランスだ。
そこをプレイヤーがいじれてしまうのは、
センスを味わう機会を放棄しているようなものだ。
料理で言えば「素材とレシピさえあっていれば調理スキルは必要無い」
と言ってるのと同意である。
 
 
「だったらその機能使わなければいいじゃないか」と思われるかも知れない。
だが俺様はRPGシステムの本質は「効率化の発見」だと思うのだ。
例えば戦闘一つ取っても、相手のパラメータ、属性、特殊能力と
パーティの性能や現状を計算し、
どのようなコマンドを実行すれば最も効率的に最大限の結果を得られるか・・。
それを切り詰めていくのが楽しい。
なので「効率が上がる機能をあえて使わない」という選択肢は
そこと矛盾してしまう。
 
結果として俺様のプレイはこうなった。
(1)まずはエンカウント率を-100%にする
(2)目的地に向かう(途中の宝箱などは全て集める)
(3)目的地直前にセーブ&回復ポイントがあるので
そこでエンカウント率を+100%にする
(4)そこでひたすらレベルアップ
(5)良き所でセーブポイント到着
 
だが終焉は突然訪れた。
ブレイブリーセカンド」には
エンカウント時にプログラムが強制終了してしまうバグがあり、
同様の敵と出会うと100%それが起こるようになる。
しばらく手探りで進めてきたが、
何度も同じ目にあううちに心が折れてしまったのだった・・。