隣のデストピア

20XX年。
人口の末期的な増加により、世界的な供給不足に襲われました。
政府は出産に重い税金をかけましたが、
それでも歯止めをかける事は出来ませんでした。
そしてその政策は高齢化社会を加速する事にもなりました。
そこで政府は“姥捨法”を制定。
70歳以上の老人は本人と家族が了承している場合に限り、処分する事を認可。
さらに処分を行った遺族は税金が優遇されるという法律です。
処分は大きな病院であればどこでも受け付けています。

「お義母さん、ごめんね。もう家では家族4人で食べていくのが精一杯なのよ。」
「いいんだよ。私の方こそ家族の役に立てなくてごめんね。」
「母さん、何にも苦しくないからさ。麻酔して目をつぶったら痛みもなく終わるそうだから。」
祖母が悲しそうな笑顔のまま処分室へと運ばれていきました。
『処分中』のランプが消えると父は
「今頃おじいちゃんに会えて喜んでるよ」と私の肩を叩きました。
 
 
おわり